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どのくらいの難易度なんだろう...
ただ、しっかり対策すれば得点源として期待が持てる科目でもあるんだな。
憲法は行政書士試験において行政法・民法につぐ、重要科目で難易度はやや高めです。
しかし、
- 判例の理解
を徹底した勉強法によって試験対策を行えば、得点源にすることも多いに可能です。
行政書士試験における憲法の難易度
憲法の難易度は
- やや難
です。
行政法や民法ほど専門的な知識が要求されないから、難易度自体は比較的低めなんだな。
憲法が想定している細かな内容や専門的なルールは、行政法や民法に委任されています。
そのため、憲法は人権や行政のあるべき姿の青写真を描く法律として扱われています。
やや難の理由
- やや難ではあるものの、暗記内容も比較的少なく、中学高校の社会で習う内容も含まれる
- そのため、消去法での回答が容易く、得点しやすい科目なのも憲法の特徴
- 最高法規である憲法は全ての法令のベースとなる法律
- 配点は低いものの全科目の根幹となる科目であるため、深い理解が重要
憲法は行政法・民法につぐ行政書士試験の隠れメイン科目
行政法と民法に次ぐ配点割合だから重要科目なんだ。
さらに配点割合だけでなく、
の構図になっており、憲法は行政法や民法の土台となっている点から、隠れメイン科目とも言われるほどです。
隠れメイン科目である理由
- 憲法の理解が無ければ、行政法や民法の前提の理解が不十分となる
- 配点以上に、解釈や理解が重要で、間違っても捨て科目にしないこと
- 憲法(統治)と行政法は行政のあり方を規律する内容であり、つながりが非常に強い
重要科目と言われるゆえんがわかったぞ。
行政書士の憲法の出題範囲と出題傾向
これらが先ほど言ったように全科目のベースの考え方となるんだ。
行政書士の憲法の出題範囲
憲法の出題範囲は
- 人権
- 統治
の大きく2つです。
しかも、複雑な制度も少ないから、取り組みやすい科目と言えるんだ。
人権
- 国民の権利義務について学ぶ
- 人権から導き出された法律が主に民法(=私法)
統治
- 三権のあり方(三権分立)や地方行政など国や地方のあり方を学ぶ
- 行政法から導き出された法律が「内閣法」や「地方自治法」などの行政法(公法)
行政書士の憲法の出題傾向
出題傾向はどんな感じなんだろう?
あと、行政法と民法のベースとなる科目のため、条文の暗記だけで対応できる問題が少ないのも特徴なんだな。
ポイント
- 条文の内容そのものを問う問題は少ない
- 判例内容の問題、学説の正誤問題、結論+過程の理解問題の3パターンが多い
- 単なる条文暗記では太刀打ちが難しく、判例の理解が得点のカギ
人権
判例からの出題が多いのは人権分野です。
行政書士の試験における憲法問題では必ずと言っていいほど判例(補足意見・反対意見)の穴埋め問題が登場します。
ポイント
- 判例知識はマストで習得すべきもの
- 試験本番では初見となるマイナーな論点(特に補足意見)の登場もザラではない
- それらを正答を導くには、結論と過程(理由)を正確な理解が重要
統治
その分、規定されている数字など細い部分の暗記までしなければならないんだな。
例えば、法律案の制定に必要な賛成数は、両議院の出席議員の過半数(憲法56条2項)で、再議決の際は、衆議院で出席議員の3分の2以上の賛成が必要(同59条2項)。
対して、憲法改正に必要な賛成数は、両議院の総議員の3分の2以上の賛成で、かつ、国民の過半数の賛成が必要(同96条1項)。
1つ1つの規定は単純ですが、複数の規定を組み合わせて出題し、受験生の混乱を狙う問題が多いです。
ポイント
- 判例の出題は少ない
- 行政や国会の制度、規定されている数字など細かい部分の暗記まで求められる
3つのコツが行政書士の憲法攻略には必要
深い理解が必要と言っても何をすれば良いんだろう?
そのために、3つのコツを知った上で勉強すると役立つんだな。
条文暗記だけでは憲法の攻略が難しく、判例の理解が不可欠です。
そのために、判例の結論と過程(理由)はマストでやるべきことですが、合わせて3つのコツを知っておくと憲法攻略への道をグッとたぐり寄せられます。
3つのコツ
- 他科目との関連性を理解しながらセットで覚える
- 憲法における捨て問題の見極め
- 過去問の徹底演習をすれば20点は確保できる
行政法など他科目との関連性を意識しながらセットで覚える
なかでも、行政ほとの関連性はとても強く、憲法を学ぶ=行政法と変換しても良いくらいなんだ。
何度も述べている通り、憲法は全ての法令の根幹となっています。
行政書士の試験で最重要科目である行政法や民法なども憲法の精神を具体化したものです。
ポイント
- 行政法は行政=権力のあり方を規定する点が憲法の精神と関連性が非常に強い
- 憲法の想定する仕組みの詳細を直接的に定めたものが行政法
- 民法の基本的人権も同様に憲法精神を具体化したもの
憲法における捨て問題の見極め
行政法と民法の強化にも繋がるしやらないと損だな...
それだけじゃなくて、捨て問題の見極めも重要なんだ。
憲法は比較的取り組みやすく、試験突破のためには得点源にすべき科目です。
なぜならば、行政法や民法は難易度が高く、相当の失点が予想されます。一方、憲法はオーソドックスな問題が多く、一般常識でも解けケースが多々あります。
ポイント
- 積極的に得点を取りに行くこと、つまり捨て問題は作らない意識で取り組むべき
- マイナーな判例の補足意見の穴埋めなど、対策の講じにくい問題も存在する
- キーワードだけを知っているか否かを問うもの捨て問題と判断
その時に頻出論点でしっかりと学習しなければいけない問題かどうかの判断のよりどころとして使えるんだ。
過去問の徹底演習をすれば20点は確保できる
さらに、過去問演習がそのまま得点につながりやすい科目でもあるんだ。
ポイント
- 憲法は得点が比較的とりやすく、過去問演習がそのまま得点につながりやすい
- だからこそ、過去問の徹底演習が重要
- これによって、20点/28点(70%程度)は獲得可能
どうすれば...
詳細は下記記事を見てみてほしんだな。
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判例理解力を高めるとっておきの3つの方法で憲法を行政書士試験の得意科目に
そんな独勉クンに判例理解力を高めるとっておきの方法を紹介するんだ。
憲法科目は判例からの出題が多くの割合を占め、判例(判旨)の習熟が得点に直結します。
だからこそ、判例理解力を高めることが求められますが、闇雲に判例を丸暗記しても、暗記した通りの問題は出題されません。
そのため、いかに応用力をつけられるかが大きなポイントとなります。
判例理解力を高める3つの方法
- 結論を覚える
- 結論に至る理由と語句を説明する
- 根拠の条文をチェックする
結論を覚える
違憲、合憲、審査対象外など結論さえ知っていれば、消去法で正解に近づくことができるんだな。
ポイント
- 判決の大多数の結論は合憲もしくは違憲とは言えない
- だからこそ、違憲判決や審査対象外(そもそも判断しない)事件の判旨は習熟しておく必要あり
過去問でチェック(H 25年問4)
私法上の法律関係における憲法の効力に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、正しいものはどれか。
- 私人間においては、一方が他方より優越的地位にある場合には私法の一般規定を通じ憲法の効力を直接及ぼすことができるが、それ以外の場合は、私的自治の原則によって問題の解決が図られるべきである。
- 私立学校は、建学の精神に基づく独自の教育方針を立て、学則を制定することができるが、学生の政治活動を理由に退学処分を行うことは憲法19条に反し許されない。
- 性別による差別を禁止する憲法14条1項の効力は労働関係に直接及ぶことになるので、男女間で定年に差異を設けることについて経営上の合理性が認められるとしても、女性を不利益に扱うことは許されない。
- 自衛隊基地建設に関連して、国が私人と対等な立場で締結する私法上の契約は、実質的に公権力の発動と同視できるような特段の事情がない限り、憲法9条の直接適用を受けない。
- 企業者が、労働者の思想信条を理由に雇い入れを拒むことは、思想信条の自由の重要性に鑑み許されないが、いったん雇い入れた後は、思想信条を理由に不利益な取り扱いがなされてもこれを当然に違法とすることはできない。
選択肢1
結論を知っていれば簡単に解答可能なんだな。
ポイント
- 憲法の効力が私人間に直接及ぶわけではない(私人間効力論)
- 憲法の精神(基本的人権)は、民法などの私法によって間接的に適用される(間接的溶接)
選択肢2
ポイント
- 私立学校と学生の関係(私人間)は憲法の規定が当然に適用されるわけではない(=合憲性の問題とはならない)
- 退学処分の選択が社会通念上不合理であると認められない限り、その選択の裁量権は学長にある
選択肢3
ポイント
- 性別による差別を禁止した根拠は民法90条(公序良俗)
選択肢5
ポイント
- 雇い入れ自体は私法上の契約であり、特定の思想信条を理由に雇い入れに制限を設けることは当然に違法であるとは言えない
- 私法上の契約自由の原則企業側の雇い入れの自由の範疇として思想信条による制限が認められる
結論に至る理由と語句を説明する
判例(結論)を問うものではなく、そこに至るまでの過程(理由)を細かく問うタイプの問題も登場しています。
ポイント
- 判決には必ず理由があり、そこには事件を象徴するキーワードが必ず登場する
- キーワードや核となる概念は、類似した他の事件についても準用される
- だから、判例と事件の結びつけが重要
過去問でチェック(H28年問4)
最高裁判所は、平成11年に導入された住民基本台帳ネットワークシステム(以下「住基ネット」という。)について、これが憲法13条の保障する自由を侵害するものではない旨を判示している(最一小判平成20年3月6日民集62巻3号665頁)。次の記述のうち、判決の論旨に含まれていないものはどれか。
- 憲法13条は、国民の私生活上の自由が公権力の行使に対しても保護されるべきことを規定しており、何人も個人に関する情報をみだりに第三者に開示または公表されない自由を有する。
- 自己に関する情報をコントロールする個人の憲法上の権利は、私生活の平穏を侵害されないという消極的な自由に加えて、自己の情報について閲覧・訂正ないし抹消を公権力に対して積極的に請求する権利をも包含している。
- 氏名・生年月日・性別・住所という4情報は、人が社会生活を営む上で一定の範囲の他者には当然開示されることが予定されている個人識別情報であり、個人の内面に関わるような秘匿性の高い情報とはいえない。
- 住基ネットによる本人確認情報の管理、利用等は、法令等の根拠に基づき、住民サービスの向上および行政事務の効率化という正当な行政目的の範囲内で行われているものということができる。
- 住基ネットにおけるシステム技術上・法制度上の不備のために、本人確認情報が法令等の根拠に基づかずにまたは正当な行政目的の範囲を逸脱して第三者に開示・公表される具体的な危険が生じているということはできない。
参照 行政試験試験研究センター
解説
平成11年に導入された住民基本台帳ネットワークシステムにおける判例の論旨だったのかが問われているため、判例を理解していれば簡単に解答可能です。
メモ
- 住基ネットによる行為は合憲
- 氏名・生年月日・性別・住所は人が社会生活を営む上で一定の範囲の他者には当然開示されることが予定されている
- 私生活の平穏を侵害されないという消極的な自由(=何人も、個人情報についてみだりに第三者に開示、公表されない自由)を認めた
- しかし、自己の情報について閲覧・訂正ないし抹消を公権力に対して積極的に請求する権利までは言及していない
根拠の条文をチェックする
中には、条文さえ知っていれば正解できるようなサービス問題も出題されることがあります。必ず得点しましょう。
過去問でチェック(H27年問7)
財政に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
- 国費の支出は国会の議決に基づくことを要するが、国による債務の負担は直ちに支出を伴うものではないので、必ずしも国会の議決に基づく必要はない。
- 予算の提出権は内閣にのみ認められているので、国会は予算を修正することができず、一括して承認するか不承認とするかについて議決を行う。
- 予見し難い予算の不足に充てるため、内閣は国会の議決に基づき予備費を設けることができるが、すべての予備費の支出について事後に国会の承認が必要である。
- 予算の公布は、憲法改正・法律・政令・条約の公布と同様に、憲法上、天皇の国事行為とされている。
- 国の歳出の決算は毎年会計検査院の検査を受けなければならないが、収入の見積もりにすぎない歳入の決算については、会計検査院の検査を受ける必要はない。
解説
メモ
- [憲法85条]国費を支出し、又は国が債務を負担するには、国会の議決に基くことを必要とする
- [憲法86条]内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない(=国会は審議の一環として予算を修正する議決ができる)
- [憲法7条1項]天皇の国事行為について定めている
- [憲法90条1項]国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、内閣は、次の年度に、その検査報告とともに、これを国会に提出しなければならない
まとめ
憲法は行政法との関連が深く、両者を紐づけて学習することが肝要となります。
そして、憲法科目は
- 判例理解
が試験攻略の最大のコツです。
重要判例(主に違憲判決)はしっかり読み込み、内容やキーワードを完全に理解によって得点源科目となります。