始める前に正しい勉強スケジュールを知って非効率な勉強は避けたい...
意外と知られていないんだけど、各科目を3ジャンルに分類してジャンルごとでスケジュールをたてると勉強効果のすごく高くなるんだな。
行政書士の試験は合格率が約10%と難易度の高い国家試験です。
行政書士試験の不合格者に多い傾向として、試験合格までの道筋であるスケジュールをたてず、ただ闇雲に行き当たりばったりの学習で満足してしまうことです。
行政書士試験で不合格になるのを避けたければ、テキストや過去問などの教材選びも重要ですが、計画的かつ最短合格するためのスケジュールを知るのも同じくらい大切です。
スケジュールを立てる上で、行政書士試験の全6科目を
- 3つのジャンルに分類
して、ジャンルごとに集中して勉強をすることで勉強効率の高い試験対策が可能となり、最短合格への道が開けます。
行政書士の試験合格までに必要な勉強スケジュール・時間(目安)
どのくらいの勉強時間が必要だったっけ...
あくまで目安ですが、一般的に行政書士の試験合格までに必要な学習時間(勉強時間)は800時間程度です。
開始時期や法律学習経験の有無などによって、あなたが一日に確保すべき勉強時間は異なります。
例えば、1月から勉強をスタートしたならば、試験が11月の第2日曜日なので、
- 800時間÷10ヶ月=約80時間/月
が必要となります。
行政書士の合格を掴むための勉強スケジュール・手順
よ〜し、1日にすると約2.5〜3時間目安で計画をたてるぞ〜。
勉強スケジュールを適当にたてる前に行政書士の合格を掴むために必要な勉強手順を知っておくべきなんだな。
行政書士の試験スケジュールをたてることによって最大の効果を得るには、目安勉強時間数の情報だけで適当にスケジュールを組むのではなく、
- 本当に必要な勉強手順とは何か
を知ることです。
合格に必要な3つの勉強手順
- 過去問で基礎を固めて合格点をとる学習
- 模試で確かなアウトプット力を定着
- 事例問題(短答記述問題)で対応力をつける
過去問で基礎を固めて合格必要点をとる学習
行政書士試験は満点を目指す試験ではありません。
合格ラインは6割のため、確実に合格必要点を取る勉強をする必要がありますが、行政書士の試験は基本事項をしっかり理解していれば合格点を取れるように設計されています。
例えば、公法分野における国家賠償と損失補償はのどちらにおいても
- 心身の苦痛や財産の損失補てん
を目的としており、どちらも根底の考え方に失われた利益の回復が存在します。
さらに、この考え方(失われた利益の回復)は、民法における「損害賠償」もあてはまるなど、法令の目的一つとっても、基礎となる考え方(基本事項)は共通している場合がとても多いです。
ポイント
- 過去問を最大限活用し、共通となる基本事項や概念の理解の徹底に時間を割く学習がとても重要
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模擬試験で確かなアウトプット力を定着
得意分野を伸ばすよりも弱点分野を徹底的に潰すために基礎を徹底的に学習し直す方が得点獲得効率が高いからなんだな。
点数が良いかどうかで一喜一憂するのではなく、模擬試験を利用する目的は
- 模擬試験データを利用して弱点の分析・対策をする
ことです。
模擬試験に取り組む時期は試験数か月前頃のいわゆる直前期が一番有効となります。
ポイント
- 模試はその時点での実力を把握するのに非常に有効なツール
- 把握だけにとどまらず、その後の学習に有効に活用できるかが重要なポイント
事例問題(短答記述)に対応できる力をつける
行政書士試験は、条文問題・判例・解釈・学説などの理論問題の出題がほとんどですが、事例問題(短答記述)も例年3題は必ず出題され、
- 60点分(20点×3問)
にもなるため、無視できません。
そのため、事例問題(短答記述)の問題文を読み、必要な内容の記述が求められます。
ポイント
- 配点が20点×3問=60点と大きい
- 記述問題を攻略できるか否かが合否を分けるポイント
実際の事例問題(短答記述)をチェック
Xは、Y県内で開発行為を行うことを計画し、Y県知事に都市計画法に基づく開発許可を申請した。しかし、知事は、この開発行為によりがけ崩れの危険があるなど、同法所定の許可要件を充たさないとして、申請を拒否する処分をした。これを 不服としたXは、Y県開発審査会に審査請求をしたが、同審査会も拒否処分を妥当 として審査請求を棄却する裁決をした。このため、Xは、申請拒否処分と棄却裁決 の両方につき取消訴訟を提起した。このうち、裁決取消訴訟の被告はどこか。また、こうした裁決取消訴訟においては、一般に、どのような主張が許され、こうした原則を何と呼ぶか。40 字程度で記述しなさい。
【解答例】
被告はY県であり、裁決固有の瑕疵のみが主張でき、この原則を原処分主義という。
問題文から
- 被告
- 裁決固有の瑕疵
- 原処分主義
の3点を想起する必要があります。
そして、これらを想起するには行政事件訴訟法の前提である行政不服審査法の仕組み(原処分主義)理解が求められます。
ポイント
- 事例問題(短答記述問題)では、問題文(具体例)から必要な知識を導き、端的な記述が求められる
- 複数の法律の横断的な理解によって様々な視点からアプローチし、問題の主旨を正確に理解することが重要
行政書士試験で知っておくべき学習・勉強スケジュールは3つ
それで、どういう風に学習・勉強スケジュールをたてていけばいいのか...
この3つは事業計画をたてるときにも使われる手法で、行動を促す現実的な勉強スケジュールが出来上がるんだな。
行政書士の勉強期間は一般的に半年〜約1年にもおよびます。
合格に必要な勉強時間の目安800時間から単純に割った時間を目標にすだけでは、行き当たりばったりで闇雲に勉強するのと大してかわりありません。
経営計画も勉強スケジュールも作る目的は同じで
- いかに行動を促す現実的な内容となっているか
です。
ポイント
- 月・週・日別の3つに分けて勉強スケジュールを計画すべき
月別の試験勉強スケジュールを3つに分解して考える
あわせて、インプット期、アウトプット期、試験直前期の3つに分けて、それぞれの時期で大枠どんなことを知っておくと、より具体的な勉強スケジュールをたてるようになるんだな。
月別の試験スケジュールをたてていくなかで、より行動を促す計画とするには、具体的な内容としていかに落とし込めるかです。
そのためには、インプット期、アウトプット期、試験直前期の3つに分けて考えることが重要となります。
月別のスケジュールを3つに分類
- インプット期(1〜7月)
- アウトプット期(8〜10月)
- 試験直前期(10〜11月)
インプット期(1~7月)
1月〜7月のインプット期における学習としては、主に各科目の基本事項の徹底理解に努めるべきです。
特に、行政法と民法は理解に特に時間が掛かります。この2つは試験の要となるので、早めの学習を心掛け、しっかりと理解しておきましょう。
この時期はまだ科目別学習段階のため、問題演習というよりは、知識の定着を課題にすべきです。
やるべきことは、各科目の基本事項を少しでもマスターできるように、過去問やテキストをフルに駆使することに尽きます。
その上で、
- 過去問で頻出論点や重要事項を把握し、そこを中心に学習する
- テキストの赤字や太字部分など、強調された箇所を中心に読む
の2点を意識して取り組んでください。
6ヶ月程度あれば、大体の法体制が分かってきます。
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アウトプット期(8~10月)
8〜10月のアウトプット期における学習は、問題演習を行って実力向上を図ると共に、知識をさらに定着させていく時期です。
過去問の回転数を高めて解いていくことに併せて、初見問題の対応力を高めるために模擬試験も受けることで、実力を養成していきましょう。
ポイントは、これまでに培ってきた知識を活かして問題演習に臨む過程で、
- 問題を早く正確に解く力をつける
- 苦手科目や苦手分野など、弱点の把握
の2点を意識しながら勉強することです。
行政書士の試験は60問を180分で解答しなければなりません。1問にかけられる時間は約3分です。しかし、実際は見直し等も必要なため、実質2分程度しかかけられません。
一見時間はたっぷりあるようですが、実際は時間が足りなくなることがほとんどです。
早く正確に論点を掴むクセをつける意識で勉強すると試験本番で冷静に問題が解けるようになるんだな。
苦手科目や分野の弱点克服
アウトプット期(8~9月)は、実力を養成するのと同時に苦手科目や苦手分野の把握をし、弱点克服にも力を入れることが重要です。
- 過去問や模擬試験を何度も解き直す
- その中で苦手部分を把握し、重点的に学習する
だから、問題演習を繰り返す中で、何度も間違える問題をチェックすることなんだな。
ポイント
- 何度も解いて理解しているつもりでも、一定期間空けた後に再度解いて間違う場合は要注意
試験直前期(10~11月)
10〜11月はいわゆる直前期で、最終確認を行う時期です。
各科目の基本事項や頻出論点の再確認、本番までをどう過ごすかといった最終調整がとても大事となります。
新しい内容のインプットは極力避けるべきです。
その時間を使うのであれば、これまで勉強してきた基礎知識を完璧にした方が、よっぽど得点力を高くなるはずなんだな。
ポイント
- 試験に対する不安も大きくなりがちな時期でオーバーペースで学習をしがち
- ただ、同様に体調や精神面で万全の状態にもっていくことも大切
- 試験当日に全力を出せるように事前準備に気を使うべき
週別の試験勉強スケジュール
次は週別のスケジュールだったな。....こちらも何をすればいいか全く思い浮かばない...
勉強できる時間が平日と休日とでは違うから、勉強する目的や目標をかえると効果的なんだな。
ポイント
- 平日と休日の2つに分けてスケジュールをたてる
平日
平日は社会人の方であれば、帰社後の時間や移動時間や待ち時間などのスキマ時間を活用した勉強が重要です。
平日は、無理のない範囲でテキストを読み、一問一答などを利用して暗記に注力しましょう。
それが積もり積もることで、あなたの実力を高めることに間違いなく繋がります。
ポイント
- 時間は有限
- 何かを犠牲にして、行政書士の勉強時間に充てる必要があることを肝に銘じておくこと
- 行政書士試験に合格するまでの期限付きだと考えて、テレビ視聴を辞める、寝る前に10分だけでも机に向かうなど、可能な範囲でできる限り勉強時間を作りだすこと
休日
休日は土日休みの方であれば、その2日間は勉強時間を多く確保しましょう。
そして、必ず目標を決め、問題演習に時間を割きましょう。
例えば、
- 目的:民法の家族法(遺言・相続・遺留分・認知など)の理解をすること
- 午前中:民法の家族法のテキストを読み進める
- 午後:午前中部分の分野の過去問を解く
といったように、何となく勉強を始めるのではなく、なぜこの勉強をするのか目的をもって勉強をすることが重要です。
メモ
- キーワードとなる概念を完全に理解する(目的を達成する)よう努めること大切
- 一番勉強時間が確保できるタイミングなので、1日をどのように活用すべきか、目的をもって計画を立てるべき
日別の試験勉強スケジュール
日別は朝、昼、夜の3つに分けてスケジュールをたてれば良いってことかな...
日別で意識すべきは、朝、昼、夜の3つに分けてスケジュールをたてることです。
それぞれで、頭の活性度合いや勉強時間の確保がどれほどできるかなど、総合的に判断してどのタイミングで何をするのかを明確化させておくと、勉強をする際にムダな悩みを排除できるため、集中度が高まります。
ポイント
- 朝、昼、夜の3つに分けてスケジュールをたてる
朝
平日であれば少し早く起きて、問題を解いたりテキストを読みましょう。
また、休日はいつもより1時間でも早く起き、問題演習などをすると良いです。
昼
平日は昼休みを使って勉強しましょう。
1時間の休憩でもテキストを読んだり問題を数問解くことはできます。
1秒でも時間を確保して、行政書士の勉強にあてるべきなんだな。
夜
平日は仕事がある場合は帰社後から就寝までを有効に使いましょう。
数時間は確保できるはずですが、疲れている場合はゆっくり休むことも必要です。
休日は夜型の場合はがっつり勉強するのも1つです。
勉強スイッチが夜の方が入る方もいるので、その場合は夜に十分学習しましょう。
行政書士試験の科目を3つのジャンルに分類すべき
また、民法をもとに商法が規定されているなど、1つの法律が他の法律の考え方にも大きく影響してます。関連した法律とのつながりを意識した勉強によって、学んだ科目の知識を同ジャンルの科目に活かせるため、バラバラにやみくもにするよりも、はるかに高い学習効果が得られます。
具体的には、
- 私法
- 公法
- 一般知識等
の3ジャンルにカテゴリー分けできます。
各科目がどのジャンルに該当するのか知りたい方は、行政書士の試験内容をカイセツ【試験制度の概要を知ろう】をご覧ください。
ポイント
- ジャンルごとに一定の順番で学習することは、関連法令のつながりを理解する大きな手助けとなる
- バラバラに勉強するよりも高い連動性を発揮できるため、より効率の良い勉強が可能
私法ジャンル→公法ジャンル→一般知識等ジャンルの順番で勉強すべき
私法(民法→商法・会社法)ジャンル
初めに勉強するジャンルは、最も身近な法律である私法ジャンルです。
なかでも、
- 民法
の学習から開始することで法律の基礎概念や条文の読み方等について押さえます。
ます。
メモ
公法ジャンル(憲法・行政法)
行政契約や代理など一定程度の民法の理解も行かせることから、私法の次に学ぶべきジャンルです。
公法ジャンルは、憲法と行政法で構成されていますが
- 憲法
- 行政法
の順で勉強すべきです。
ポイント
- 憲法の内容を前提に行政法全般が規定されているため、行政法の時に憲法の復習にもなるから一石二鳥
一般知識等
一般知識等ジャンルに該当する
- 一般知識
- 基礎法学
はクイズ問題に近く勉強の範囲が広いです。
メモ
- 広く浅く抑える程度十分
- 私法と公法の攻略に時間をかけるべき
行政書士試験の勉強のスタートは民法からにすべき
私法である民法は、
- 契約
- 債権
- 相続
などを定めている日常生活に最も身近な法律です。
さらに民法における
- 委任
- 代理
- 契約
などは、公法ジャンルの法律を規定するベースとなる考え方になっています。
ポイント
行政書士試験に求められる法律の概念や基礎知識の理解につながるのは民法
だからこそ、民法を初めに学習することが、効率的な学習のカギ
行政書士試験の約3割が民法から出題される点からも超重要科目として位置付けるべき
まとめ
行政書士の試験合格には勉強スケジュールを立て、できるだけその通り実行していくことが大切です。
学習にも段階があり、
- 知識の定着を図るインプット期
- 実力養成を図るアウトプット期
- 最終確認を行う直前期
の3つです。
上記をベースに、週や日ごとでもスケジューリングしていくことが、学習の習慣化を作り、その積み重ねが合格へと導きます。