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ライバルと一歩差をつけるためには得点がとれていない原因が何かを解明することが勉強法のコツなんだな。
中小企業診断士の二次試験(事例3)生産・技術で思うような得点がとれずに不合格となる人がいる一方で、 生産管理・技術で高得点を獲得できたことで、他科目をカバーして合格する人も存在します。
事例3(生産・技術)で高得点が取れる人の共通項は
- 設問
- 与件
- 解答
の3つのパートに分けて勉強をしていることです。
中小企業診断士の二次試験(事例3)生産・技術で60点を安定的にとるための勉強方法は至ってシンプルで、誰でも実践できる内容となっています。
中小企業診断士の二次試験(事例3)生産・技術の概要
試験概要は3つ
- 試験時間
- 試験形式
- 出題範囲
試験時間
80分
試験形式
論述形式
ポイント
- 生産・技術の視点から企業の経営課題を解決する助言・アドバイスが求められる
出題範囲
経営戦略および生産・技術における診断・助言
製造業における生産工程や生産計画などの現場で発生している問題や課題、会社全体としての方向性などが問題として問われるんだな。
ポイント
- 生産工程や生産計画など、現場ですでに発生している問題や課題の情報整理が重要
- 問題や課題を整理するときに、関連する段落同士が離れていることが多く、読む力が特に試される事例
中小企業診断士の二次試験(事例3)生産・技術の勉強方法(解き方)
具体的な解き方が知りたい...
3つのパートごとでの強化が合格点の獲得に重要なんだな。
具体的な解き方
- 設問を解く
- 与件を読む
- 解答を書く
設問を解く
3つの手順にそって解いていくことになるんだな。
ポイント
- 設問で問われているレベル感をみきわめる
- 成長ストーリーのどの段階の話なのかをみきわめる
- 全設問を通してどのような成長ストーリーなのかを仮設する
設問で問われているレベル感をみきわめる
中小企業診断士の二次試験で解答するレベル感を誤ってしまうと、1点ももらうことができなくなります。
このレベル感とは
- 経営戦略
- 生産・技術
のどちらに該当するかを考えることです。
ポイント
- 生産・技術のことを問われているのに、経営戦略の内容を書いたら、どんなに素晴らしい解答でも残念ながら0点
平成30年度事例3第3問
C 社の生産計画策定方法と製品在庫数量の推移(図 1 )を分析して、C 社の生産計画上の問題点とその改善策を120字以内で述べよ。
生産計画に関する問題点と改善策を記載しないといけないのに、会社全体の方向性を記した経営戦略(誰に、何を、どのように)の内容を書いても1点にもなりません。
成長ストーリーのどの段階の話なのかをみきわめる
成長ストーリーのなかでどの時点の内容が問われているのか理解しておくことも重要です。
どの時点は大きく
- 過去
- 現在
- 未来
の3つに分けられます。
過去のことをきかれているのに、現在や未来に関連する内容を与件から探したり、解答に書いても1点も貰えません。
全設問を通して、どのような成長ストーリーなのかを仮説
中小企業診断士に求められているのは、
企業の成長戦略(ストーリー)の策定について専門的知識をもってアドバイス
です。
成長戦略(ストーリー)の策定をたてるために、
各設問がピースとなっており、全設問を通すと成長戦略のパズルが完成されるように設計されています。
ポイント
- 全設問をながめてどのような成長ストーリー描くべきなのかピースを組みわせてパズルを完成させる感覚が必要
- 大きな視点で事例企業の成長ストーリーを把握できると、解答の方向性を絞れる
- つまり、安定して合格点を獲得できる土台が出来上がる
与件を読む
具体的なチェックポイントは4つあるんだな。
与件を読むパートは、設問で仮説をたてた成長のストーリーと解答していくために必要となる材料探しをしていくことが主な役割です。
ポイント
- 経営課題は何か、どんな成長ストーリーを想定しているのか把握
- 段落ごとに何が書いてあるかを理解
- 接続詞に注意しながら内容を大枠で捉える
- SWOT分析をする必要はない
経営課題は何か、どんな成長ストーリーを想定しているのか把握する
与件文を読んでいくときには大枠を捉えて、詳細を掴むことが重要です。
そのために、段落ごとにどんな内容なのかを理解が求められます。
平成30年度事例3与件文一部抜粋
成形機の段取り時間が長時間となっている主な原因は、金型、使用材料などを各置き場で探し、移動し、準備する作業に長時間要していることにある。図 2で示す「成形機1の段取り作業内容の詳細」は、製品Aの成形加工作業者が、昼休み直後に行っ た製品Bのための段取り作業の内容である。金型は顧客からの支給品もまだあり、C 社内で統一した識別コードがなく、また置き場も混乱していることから、成形加工課の中でもベテラン作業者しか探すことができない金型まである。また使用材料は、仕 入先から材料倉庫に納品されるが、その都度納品位置が変わり探すことになる。
顧客企業からは、短納期化、小ロット化、多品種少量化がますます要望される状況にあり、ジャストインタイムな生産に移行するため、C社では段取り作業時間の短縮などの改善によってそれに対応することを会社方針としている。
1つ目の段落は、成型器の段取り時間における原因が記されています。
2つ目の段落では、顧客ニーズと経営方針が記載されています。経営方針から、段取り作業時間の短縮の改善が至上命題となっており、この経営課題を解決するストーリーを考えていく必要があります。
接続詞に注意しながら、内容を大枠で捉える
接続詞に注意して、与件を読んでいくと流れが変わる部分や、論点を複数並べているヒントを教えてくれいることに気がつきます。
接続詞は出題者からのメッセージとして受け取りましょう。
代表的な接続詞として、
- また:並列
- しかし:逆説
が挙げられます。
また(並列)
中小企業診断士の二次試験で使われている場合は、同じ階層であるものの、論点が異なるときに利用される傾向にあります。
平成30年度事例3与件文一部抜粋
金型は顧客からの支給品もまだあり、C 社内で統一した識別コードがなく、また置き場も混乱していることから、成形加工課の中でもベテラン作業者しか探すことができない金型まである。また使用材料は、仕入先から材料倉庫に納品されるが、その都度納品位置が変わり探すことになる。
また使用材料は、の前後で
- 金型
- 使用材料
の2つの論点において、捜索に時間がかかっていることがわかります。
ポイント
- 金型は統一した識別コードの導入とコード別に置き場を指定することで、誰でも探せるようにする
- 使用材料は、仕入先から納品される際に、納品位置を固定する
- これらの解決策は問題の裏返しなので、情報整理できるかがとても重要となる
しかし(逆説)
中小企業診断士の二次試験では話の流れが変わる、重要なターニングポイントの時に利用される傾向にあります。
平成27年度事例3与件文一部抜粋
C社では工場全体の生産能力を鋳造工程の処理能力で把握しており、受注増への対応策として鋳造工程の生産能力増強を特に進めてきた。しかし、改善チームが行った マンホール蓋の主力製品の工程分析によると、図に示すように機械加工工程がネッ ク工程となっていた。この結果は他製品の工程分析でも同様の傾向を示していて、機械加工工程の残業が日常的に生じている原因が判明した。
しかしの前後で
- 受注増への対応策(改善策)として鋳造工程の生産能力を増強
- 調べてみたら、鋳造工程ではなく機械加工工程が問題だった
が書かれていること判断できます。
ポイント
- しかしなどの逆説は話をガラッと転換させるときに使う重要な言葉
- 平成27年度事例3与件文から、鋳造工程の内容を解答に書いても一点にもならない
- 逆説を知っていれば、ポイントは機械加工工程だと分かる
SWOT分析をする必要はない。
成長ストーリーさえ把握できれば解答は導けるようになっているから、80分という限られた時間の中では不要なんだな。
SWOT分析をする必要は全くありません。
中小企業診断士の実務補習や実務では鉄板と言っていいほど、とりいれられる手法ですが、二次試験では必要ありません。
ポイント
- 中小企業診断士の出題者が設定したストーリーさえ読み解ければ、与件からどのような材料を集めればよいのか、どのような解答を書けばよいのかは自然と決まる
- 80分のなかで、最大限のパフォーマンスを出すためにはムダな作業は1つでも減らすべき
解答を書く
と言っても、簡単なお作法を守れば伝わる解答は書けるから心配なんだな。
与件と設問から解答の材料を集めることができたら、後は解答を書くだけです。
ただし論述試験であるため、採点者に伝わる文章が書けないと、せっかく解答の材料は正確に集められても残念ながら得点は入りません。
文章書くのが苦手・・・と思っている方、安心してください。
採点者に伝わる文章を書くためのポイントは
- 伝える内容は論点をわけて書く
- 主語と述語のキョリは近めにする
のたった2つを気をつけるだけです。
意識すれば誰でも簡単に採点者に伝わる文章を書くことは可能です。
伝える内容は論点をわけて書く
伝える内容は論点をしっかりと分けて書きましょう。
論点をわけて伝えることによって、
- 採点者に自分がどの論点で書いたのかを明確に伝えられる
- 伝わりやすい文章になりやすいため、採点者が内容を理解しやすい
のメリットしかありません。
例えば、以下のような例題をもとに論点をわけない場合と分けた場合を記載していきます。
顧客満足度向上のために生産計画の精度を高める方策を提案せよ。
論点を書き分けない場合
方策は、生産計画の策定を月1回から週1回頻度にすることや営業と生産部門とで情報をリアルタイムで共有すること。
論点を書き分けた場合
方策は、(1)生産計画の策定を月1回から週1回頻度にし予測精度を高める、(2)営業と生産部門とで情報をリアルタイムで共有し生産ロットサイズの最適化を図る、こと。
どちらのほうが分かりやすいかと言えば、論点をかき分けた場合ですよね。
中小企業診断士の二次試験は、一次試験と違い目視によって何千枚と採点されます。何が書かれているのか一目で分からないような文章だとその時点で悪い印象しか与えません。
ポイント
- プレゼンでいかに分かりやすい資料を作るかが商談を成功させるキーポイントなのと中小企業診断士の二次試験は一緒
主語と述語のキョリは近めにする
文章の基本ですが、
- 主語と述語のキョリは近めにする
ことで何を主張している内容なのか採点者が理解しやすくなります。
主語と述語が遠い場合
エナジードリンクを中小企業診断士の勉強を頑張るために2本購入した。
主語と述語が近い場合
中小企業診断士の勉強を頑張るためにエナジードリンクを2本購入した。
採点者が理解しやすい文章のコツ
主語である「運動会が」の位置が
- 最初
- 最後
かだけの違いです。
合否をつけるために採点しているのに、採点者が一読してよく理解できなかった解答を再度読み込んで理解しようとしてくれるはずがありません。
自分の言いたいことを正しく伝えるために重要なことだ...
ポイント
- 主語と述語の距離を近めにすると、伝わりやすい文章になる
中小企業診断士の二次試験(事例3)生産・技術に必要な知識
中小企業診断士の二次試験【事例3】生産・技術に必要な知識は、
- 生産計画
- 生産方式
- 物の流し方
- 品質
- 設計
- 技能承継
の6つです。
中小企業診断士の二次試験で問われる知識はさほど多くありません。なぜなら、二次試験は知識が問われているのではなく、事例企業が成長するためのアドバイスが求められているからです。
そこで注意したいのが知識を知っていることが重要なのではなく、知識からメリットやデメリット等を理解し、事例企業にマッチする提案をすることです。
生産計画
生産計画における論点で頻繁に問われる代表的な知識は
- 需要予測
- 生産計画策定・更新のタイミングと頻度
- 生産計画対象範囲
- 生産統制
の4つです。
生産計画策定頻度とは、さっきの月次を週次に変更したりってことか...
ポイント
- 二次試験の事例3生産・技術で求められる知識は一次試験の運営管理で学んだ内容ばかり
- ただし、一次試験の知識が丸々二次試験で使えるわけではないので注意が必要
まとめ
設問、与件、解答の3つに分解して考えるだけなんだな。
設問なら
- 設問で問われているレベル感をみきわめられているか
- 成長ストーリーのどの段階の話なのかをみきわめられているか
- 全設問を通して、どのような成長ストーリーなのかを仮説できているか
与件なら
- 経営課題は何か、どんな成長ストーリーを想定しているのか把握できているか
- ブロックごとに何が書いてあるのかを理解できているか
- 接続詞に注意しながら、内容を大枠で捉えられているか
解答なら
- 伝える内容は、論点をわけて書けているか
- 主語と述語のキョリは近めになっているか
ができているかどうかをチェックポイントにしましょう。
でも勉強始める前に、事例4の財務会計における勉強方法も知っておきたいな...
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中小企業診断士の二次試験事例4で60点を死守する勉強法のコツ
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