学習のポイントは、基礎理解の徹底につきるんだな。
健康保険法は、社労士試験の中で難しい(難易度が高い)科目と位置付けられています。
そのため、深入りした勉強をするのではなく
- 過去問で何度も登場している論点やキーワードを軸にした基礎理解の徹底
が最も重要です。
社労士試験における健康保険法の難易度(レベル)
社労士試験における健康保険法の難易度は
- 高い(難しい)
です。
社労士試験には各科目ごとに足切りの点数が設定されており、選択式で3点以上、択一式で4点以上が通常の足切りのラインとなっています。
しかし、受験者の正答率が著しく低い場合には、足切りの点数を引き下げる救済措置が設けられることがあります。
健康保険法は過去20年間の選択式試験において、厚生年金保険法と並んでトップ水準の45%の確率で救済が行われているため、社労士受験生の中で健康保険法は難しい科目として位置づられています。
足切り回避は徹底し、他科目で総得点を高める勉強方法が王道合格戦略なんだな。
ポイント
- 健康保険法は過去20年間の選択式において45%もの割合で救済が行われている科目
- これは厚生年金法に並ぶトップの水準であるため、社労士試験の中で難易度が高い科目として位置付けられている
健康保険法の問題数と配点
問題数と配点
- 選択肢式:問題数5、配点5点
- 択一式:問題数10、配点10点
とすると、選択式で3問以上、択一式で4問以上の正解が必要なのか...
だから、網羅的な知識の習得が求めるんだな。
ポイント
- 1問1点となるため、選択式は3問以上の、択一式は4問以上の正解が求められる
- 選択式では、制度の細かい数字等で2、3問が占める場合も多く、網羅的な知識の習得が必要
- 高額療養費などの計算問題が出題されることもあるため、時間を取られすぎないようにペース配分に注意が必要
社労士試験における健康保険法の勉強範囲
健康保険法とは、1922(大正11)年に制定され,1927(昭和2)年に全面施行された日本で最初の社会保険法令です。
その被保険者となる労働者やその被扶養者となる家族が,労災保険法に規定する業務災害以外の事由によって,怪我をしたり,病気になったり,死亡した場合や,出産した場合に保険給付を行うことにより,安定した生活を送れるようにすることを目的としています。
健康保険法における頻出論点
つまり、勉強した内容が得点に反映されやすい費用対効果が高い勉強範囲と言えるんだな。
社会保険労務士の試験は出題範囲は広いものの、過去問を分析すると頻出論点は明確に存在します。
そのため、必要最小限の労力で足切り回避をするには頻出論点を先ずおさえることが、健康保険法の全体像を掴む最も効率的な学習につながります。
ご紹介する5つの頻出論点を最初に理解・暗記することで、健康保険法の全体像を把握しましょう。
健康保険法の勉強範囲
- 被扶養者
- 保険給付
- 各種健康保険組合
- 出産・死亡での給付
被扶養者
健康保険法では、保険料を支払っている被保険者だけでなく
- その者に扶養されている被扶養者も健康保険の対象
となります。
そのため、社労士試験においては、被扶養者の範囲と被扶養者に支給される給付の種類をきちんとおさえることが鍵となります。
記憶のポイント
- あなたが子供だった時のご両親をイメージしてみる
- そして、どんな時に給付が貰えるか、あるいはどうなったら被扶養者でなくなってしまうのかを整理すること
保険給付
社労士試験における保険給付の論点は
- 治療として提供される現物給付と現金で支給される現金給付の違い
の徹底した理解が最も重要です。
怪我や病気の発生原因が労災であっても、通常の事故であっても、必要な保障の種類に代わりはありません。
各種健康保険組合
健康保険には国が運営している全国健康保険協会だけではなく、関東ITソフトウェア健康保険組合や、パナソニック健康保険組合等、会社名や業界名を冠した各種の健康保険組合があります。
社労士試験においては、この協会けんぽと健康保険組合の違いをしっかりと理解することが必須です。
健康保険事業は、国以外にも企業等の集団によっても運営されています。
国が行う健康保険事業は全国健康保険協会(通称、協会けんぽ)が実施しており、それ以外に健康保険事業を運営している団体を健康保険組合となります。
ポイント
- 健康保険組合の論点は幅広く、協会けんぽとの給付の違いや加入、脱退などの非常に重要な論点
- 健康保険組合自体の運営体制など、少しだけ重要度の落ちるマニアックな論点も存在する
- 過去問を解いていく中で、重要性に応じた知識の効率的インプットが勉強のコツ
出産・死亡での給付
出産に関する給付では、出産育児一時金、家族出産一時金、そして出産手当金が、死亡に関する給付には埋葬料、埋葬費、家族埋葬料があります。
出産育児一時金、家族出産一時金は、自分自身もしくは被扶養者が出産をした際に支給される給付で、原則として40万4000円と非常に高額な給付を受けることのできる給付金です。
また、出産手当金は、出産のために働けない期間の生計を維持するために支給される手当で、被扶養者の出産では発生しないため、注意してください。給与(標準報酬月額)を基準に支払われ、雇用保険での育児休業給付金に近い性質を持っています。
死亡に関する給付は非常にシンプルで、被保険者が死亡した際には、埋葬料、埋葬費のいずれかが、被扶養者が死亡した際には、家族埋葬料が支給されます。埋葬料と埋葬費の違いをきちんと理解する必要があります。
ポイント
- 出産・死亡での給付は、労災保険法や雇用保険法と似ている論点が多数あり、混同しないよう注意が必要
- 逆にいえば、その点だけ注意をすれば難しい論点はないので、しっかり整理して暗記すること
覚え方はキーワードを軸に暗記すべき!健康保険法における社労士試験勉強法4つのポイント
ちゃんと理解・暗記できるかな...
1番重要なことは、キーワードを軸にした基礎理解の徹底なんだな。
勉強方法4つのポイント
- キーワードを軸にした基礎理解の徹底
- 法改正への対応
- 過去問対策の徹底
- 高額療養費論点への対応
健康保険法の覚え方のポイントはキーワードを軸にした基礎理解の徹底
覚え方のポイントとかあるのかな...
健康保険法は非常に幅広い範囲を取り扱うため、1つ1つの論点を順番に理解するのではなく
- 各範囲で重要になるキーワードをまずは徹底的に理解し、それを軸に広げる
勉強法が覚え方のポイントとなります。
ポイント
- 総則
- 被保険者
- 保険給付
- 費用の負担
総則
健康保険法の総則は、健康保険法第1条から3条が該当し、それぞれ目的、基本的理念、定義となっています。
目的や基本的理念は
- 選択式で高い比重を持って出題される可能性がある
のでしっかりと覚えておくべきです。
試験当日でも良いので、文言を確実に頭に暗記しておくと得点につながる可能性が高くなります。
なぜなら、第50回社会保険労務士試験で、健康保険法の基本的理念が選択式において3点もの比重を占める形で出題されているからです。
この3点を確実に取れたかどうかで、合否の明暗が別れた人も多く出たほどです。
ポイント
- 基本的理念は文言を丸暗記するだけでなく、意味も必ず理解すべき
- なぜなら、選択式で肢を絞り込む助けとなり、1点上澄みできる可能性が高まるから
- 社労士は1点が明暗を分ける試験だからこそ、少ない労力で点数に繋がる基本理念などの総則は確実におさえるべき
被保険者
健康保険に加入しているものを被保険者といいます。
社労士試験においては、
- 被保険者になることができる条件の理解
が重要です。
被保険者の概念は、健康保険法だけではなく、労災保険法、雇用保険法、厚生年金法等でも出てきます。
若干の違いはあるものの根幹の部分や考え方は似通っているため、各法律の共通部分を抑えた上で、違いとその理由を把握することで、一気に理解が進みます。
ポイント
- 被保険者は社労士試験において非常に高い確率で出題される
- 法人と個人事業主のどちらで働いているか、事業の種類に応じて、加入の可否は変わってくるため、非常に複雑
- だからこそ、加入条件を整理し理解できると得点につながる
保険給付
健康保険法の保険給付には非常に多くの種類があるため、最低限の試験対策は
- 共通点を用いて覚える
ことです。
例えば、療養費と家族療養費、出産育児一時金と家族出産育児一時金のように「家族」がつくものとつかないものは、実質的に保障の内容は変わらないため、いっぺんに覚えてしまえば、試験出た時にも問題なく解くことができます。
また、労災保険法における葬祭給付と、健康保険法の埋葬料のように、給付が支給されるケースについても、複数の法律で似通っています。
横断的に理解していくことで、知識として定着し、問題への対処能力が上がっていきます。
ポイント
- 確実に理解し、覚えていく方が試験合格の確実性は高まる
- そのため、余力がある方は一つ一つ丁寧に覚えていくのが望ましい
- しかし、時間がない方や、他の重要論点がカバーしきれない方は、少し手を抜いて優先順位を落としても問題ない
費用の負担
健康保険法において、費用の負担は非常に難しい論点です。
なぜなら、この費用の負担が色々な場面で出てくるため、ぼんやりとした理解のままで試験当日を迎えて、点数を取れずに惨敗が起きてしまいがちな論点として有名だからです。
費用の負担を整理するポイントは
- 健康保険事業に関する費用は誰がどのようにいくら負担をするか
- 毎月の健康保険料は誰がどのようにいくら負担をするか
- 療養を受けた時の診療費を誰がどのようにいくら負担をするか
の3つの構造を理解することです。
法改正には必ず対応すべき
法改正は非常にホットなトピックであり、合格のために必ず抑えておくべき項目です。
しかも
- 健康保険法は法律が頻繁に改正される科目
であるため、法改正への対応がより重要となります。
法改正のあった論点は、非常に出題されやすく、また素直な形で出題がされますので、比較的簡単に点を取ることができるからです。
ただし、改正があってすぐに出るとも限らないため、直近3ヶ年程度の法改正の状況はしっかりとキャッチアップをしていく必要があります。
ポイント
- 過去問中心の勉強だと法改正への対応がおろそかになりがち
- 試験直前でもいいので、法改正があった場合はしっかりと論点を抑え、必ず点数を稼ぐべき
過去問対策を徹底する
試験運営側、それほどまでに重要な内容とのメッセージを送ってくれているんだな。
健康保険法だけでなく他の科目全てに共通することですが
- 過去問は出来るだけ古いものから遡って、2、3周はすべき
です。
健康保険法は問われる範囲が非常に広い科目ですが、社労士として必要な知識を問う試験です。
なので、あまりにも細かいマイナーな数字が問われる可能性は低いため、必然的に重要な論点は何度も試験で問われることになります。
特に選択式では過去問と同じことを問う肢や関連する肢は毎年沢山出てきます。
過去問を徹底研究しておくことで、それらの肢に対処できるようになり、点数の底上げに繋がります。
例えば、「指定訪問看護事業者の指定」に関する論点は、健康保険法の全体からすると比較的ニッチな領域なのですが、肢としては、以下のように2年に1回程度は出てきています。
指定訪問看護事業者の指定について、厚生労働大臣は、その申請があった場合において、申請者が健康保険法の規定により指定訪問看護事業者に係る指定を取り消され、その取消しの日から年を経過しない者であるときは指定をしてはならない。
参照第48回社会保険労務士試験 健康保険法 問6 D
指定訪問看護事業者は、当該指定に係る訪問看護事業所の名称及び所在地その他厚生労働省令で定める事項に変更があったとき、又は当該指定訪 問看護の事業を廃止し、休止し、若しくは再開したときは、厚生労働省令 で定めるところにより、20 日以内に、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならない。
参照第51回社会保険労務士試験 健康保険法 問7 オ
指定訪問看護事業者が、訪問看護事業所の看護師等の従業者について、 厚生労働省令で定める基準や員数を満たすことができなくなったとしても、 厚生労働大臣は指定訪問看護事業者の指定を取り消すことはできない。
参照第52回社会保険労務士試験 健康保険法 問2 D
ポイント
- 同じ論点が過去に何度も登場している場合は、重要問題と認識すべき
- 重要問題は過去問を解くことで、論点に関するポイントが自然にインプットされるため、本番で出てきた際にも対処できるようになる
高額療養費の論点も必ずおさえておくべき
でも、頻出論点だから、試験対策は必ずしておくべきなんだな。
高額療養費は令和2年度の選択式、令和元年の択一式でも出題された論点で、社労士試験の中で屈指の難易度となっています。
難易度は高いですが、頻出論点であるため試験対策を絶対すべき論点です。
高額療養費の受給の要件が非常に複雑であることや、他の療養費と比べて支払われるタイミングが異なることが、他の論点と比べて難易度が高い原因となっています。
初学者の場合ですと、一度講義を受けたり、テキストを読んだだけで、理解をするのは非常に難しい。
効率的に高額療養費を抑えるために、一度実際にどのようなケースでもらえるかを実生活に置き換えて考えてみることで一気に理解が進みます。
例えば、癌のような病気になったケースを仮定してみます。
実厚生労働省の「医療給付実態調査(平成27年度)」によると、癌は1回の入院に64万円程度の費用がかかります。
この場合、自己負担額は3割だと19万円になります。
仮に月収が30万円だとすると、自己負担限度額は「80,100円+(総医療費※1-267,000円)×1%」となります。
そのため、自己負担金額は83,830円で済むことになりました。無事に手術が終わり、退院をすることできました。
その際に、入院費用64万円、そのうち自己負担額として19万円が請求されました。
仕方なくあなたは19万円を支払います。
その後、高額療養費の制度を知り、申請書を協会けんぽに提出しました。
すると3ヶ月後、この自己負担額19万円から自己負担金額を差し引いた約10万円があなたの口座に振り込まれました。
上記のように高額療養費を利用シーンを具体的にイメージすると、理解しやすくなります。
また、社労士以外にもお金の専門家であるFPなどが、わかりやすく解説している動画が数多く存在するyoutube動画の活用も試験対策勉強法のコツです。
ポイント
- いくつかのパターンを自分自身でシミュレーションしてみると、理解が促進される
- youtube動画を利用するのも1つの手
過去問でチェック!社労士試験における健康保険法の暗記ポイントにはパターンが存在する
何かいい方法はないのかな...
他の科目との共通点にはパターンが存在するから、そこを足掛かりに暗記していくべきなんだな。
社労士試験に置ける暗記ポイントは
- 他の科目との共通点と違いを整理して覚える
ことです。
他の科目との共通点にはパターンが存在するため、それを足掛かりに内容の理解や暗記をするとスムーズに覚えられます。
一般的に暗記は、元素記号を覚えるための「水兵リーベ僕の船」であったりとか、歴史の年号を覚えるための「人世むなしく応仁の乱」等の便利な語呂合わせをイメージされる方が多いですが、健康保険法には便利な語呂合わせは存在しません。
そのため、無理矢理作に語呂合わせを作って丸暗記するよりも、パターンで理解した方が間違いなく効率的に暗記可能です。
過去に出題された問題で、退職した時の書類を、日本年金機構(厚生年金保険法)と健康保険組合(健康保険法)以外にどこを経由して提出できるかが問われています。
健康保険法施行規則第 29 条の規定によると、健康保険法第 48 条の規定 による被保険者の資格の喪失に関する届出は、様式第 8 号又は様式第 8 号 の 2 による健康保険被保険者資格喪失届を日本年金機構又は健康保険組合 (様式第 8 号の 2 によるものである場合にあっては、日本年金機構)に提出することによって行うものとするとされており、この日本年金機構に提出する様式第 8 号の 2 による届書は、【 D 】を経由して提出することができるとされている。
- 住所地の市区町村長
- 所轄公共職業安定所長
- 所轄労働基準監督署長
- 全国健康保険協会理事長
ポイントは、他の科目で従業員が退職した時に提出しする必要があったかどうかの切り口で考えることです。
すると答えは一つで、雇用保険喪失届を出さなければいけない(2)所轄公共職業安定所長に絞り込めるようになっています。
ポイント
- 他の科目との共通点を覚えておくことで、飛躍的に問題への対処能力が上がる
- 個々の科目ごとに一から暗記するよりもはるかに効率が良く、問題への応用力も段違い
- 他科目との共通点をパターンとして、横断的に学習こそが王道の勉強法
[理解促進に役立つ]社労士試験における健康保険法で参考にすべき動画とは?
様々な種類の給付があり、給付ごとに様々な数字が出てくるため、頭が混乱してしまう代表的な科目です。
特に馴染みのない論点だと、イメージが出来ずに理解が大変なため
- 挫折する受験者も多く
見受けられるという特徴を持っているのが健康保険法です。
だからこそ、個別の論点は試験勉強として無理やり暗記で対応するよりも、まずは普通の被保険者の方に向けて作られているYouTube動画でイメージすることが社労士試験を合格する大きな鍵となります。
メモ
- 専門家の方の動画ではないため、厳密性はあまり高くないが、非常にわかりやすい図を使って解説している
- しかも10分で全体像を掴めるようになっている
- 健康保険法の学習を始めた初期段階で視聴しておくと、本格的な学習をした際に理解度が段違い
まとめ
健康保険法の勉強に着手する際には、最初から完璧に覚えようとするのではなく、まずは全体像を掴み、イメージができるようになることを優先しましょう。
健康保険法は、社労士試験の科目の中では、実生活と紐付けて考えやすい科目となっているため、他の法律に比べて、イメージが湧きやすい科目だからです。
覚えるべき論点は多いのですが、それらを最初から丸暗記で詰め込もうとするのではなく、まずは実生活でどのように関わってくるかのイメージをしながら、覚えていくことで記憶に定着しやすくなります。
その後、キーワードを確実に理解しながら、周辺領域まで理解を広げていき、そして最後に過去問を中心に問題を解いていくことで、充分、合格に必要な点数を獲得することができます。