どのような試験対策をすればいいのか...
頻出論点の暗記を徹底的に、それ以外は深入りしない勉強方法が重要な科目なんだな。
雇用保険法は年度によって難易度が乱高下するため、足切り対策の徹底が重要な科目です。
特に、択一試験は年度によって全くの別科目と思うほどの難易度に遭遇する可能性は大いにあり得ます。
しかし、雇用保険法科目で最低限の得点(足切り対策)を獲得する勉強方法は難しくなく
- 基礎論点の繰り返し学習
すれば誰でも攻略可能科目で、体系図を使った学習が基礎力を高める勉強法のキモとなります。
この記事の監修社会保険労務士
社会保険労務士事務所フェリシアンス 代表 堀川眞也 氏
社労士試験における雇用保険法の難易度(レベル)
社労士における労働災害保険法の難易度は
- 普通
です。
雇用保険法では行政の内部資料である行政手引きの内容からも出題されるため、勉強範囲を広げたくなりがちですが、時間対得点効率が非常に低いのでおすすめしません。
合格点をとる最大の勉強法は基礎論点の反復継続学習につきます。
雇用保険法の問題数と配点
ポイント
- 選択式:5問、5点
- 択一式:7問(3問は労働徴収法から出題)、7点
ポイント
- 同科目で出題される労働保険徴収法で必ず得点を確保すること
- 体系図を紙に書けるようになるまで反復すること
- 実務的な論点に深入りしすぎないこと
社労士試験における雇用保険法の勉強範囲
学習内容はそれほど難しくはないけど、学習する内容は多岐にわたるんだな。
雇用保険法の勉強範囲
- 総則
- 適用事業等
- 失業給付等
- 雇用安定事業等
- 費用の負担
- 不服申し立て及び訴訟
- 雑則
- 罰則
雇用保険法科目における頻出論点
つまり、勉強した内容が得点に反映されやすい費用対効果が高い勉強範囲と言えるんだな。
社会保険労務士の試験は出題範囲は広いものの、過去問を分析すると頻出論点は明確に存在します。
頻出論点を必ずおさえておくことが、社労士の合格には絶対的に必要となります。
ポイント
- 適用事業等
- 失業給付等
- 雇用安定事業等
- 雑則
適用事業等
ポイントは2つ
- 原則と例外
- 事業とは
原則と例外
そもそも、事業に該当するものは何かを理解しておくことも
雇用保険法で最も重要な論点は、適用事業の原則と例外です。
ポイント
- 原則:労働者が1人でも雇用される事業が適用事業の原則
- 例外:労働者が雇用される事業であっても、その労働者がすべて適用除外に該当する場合は、適用事業とならない
- 例外:個人経営の農林水産業で、雇用している労働者が常時5人未満の場合には適用が任意となる(雇用されている労働者の1/2以上が雇用保険への加入を希望する場合には、加入要件を満たす労働者全員の加入が必要となる)
- 適用事業か否かの判断には事業の定義の把握が求められる
事業(行政手引20002)
これは、行政が法令などを運用しやすいようにまとめた内部の手引なんだけど、事業の定義以外にも雇用保険法の勉強でよく利用することになるんだな。
事業とは、一定の場所において、一定の組織のもとに有機的に相関連して行われる一体的な運営活動です。
一の経営組織として独立性をもったもので、経営上一体をなす本店、支店、工場等を総合した企業そのものを指すのではなく、個々の本店、支店、工場、鉱山、事務所のように1つの経営組織として独立性をもった経営体を指します。
ポイント
- 会社単位ではなく、支店、工場、事務所など一定の場所に組織として活動している場合は事業とみなす
- 都道府県、市町村その他これらに準ずるものの事業も適用事業となる
失業等給付等
また、2020年4月1日の法改正で、雇用継続給付に含まれていた、「育児休業給付」が「失業等給付」から分離されたんだ。
よって、失業等給付等 と言う場合は、「失業等給付」と「育児休業給付」の2つを指すことになったんだ。
失業等給付は大きく
- 求職者給付
- 就職促進給付
- 教育訓練給付
- 雇用継続給付
の4つに分かれます。
これらを理解・暗記する際に重要となるのが大枠を把握すると頭に入りやすくなります。
求職者給付
(※1基本手当、高年齢求職者給付金、特例一時金、日雇労働求職者給付金)
※1→(更に)基本手当、※2技能習得手当、寄宿手当、傷病手当
※2→(更に)受講手当、通所手当
に枝分かれします。
②就職促進給付(※3就業促進手当、移転費、※4求職活動支援費)
※3(更に)→就業手当、※5再就職手当、常用就職支度手当
※5(更に)→就業促進定着手当
※4(更に)→広域求職活動費、短期訓練受講費、求職活動関係役務利用費
に枝分かれします。
③教育訓練給付→※6教育訓練給付金
※6(更に)→一般教育訓練、特定一般教育訓練、※7専門実践教育訓練
※7(更に)→教育訓練支援給付金(暫定措置)
に枝分かれします。
④雇用継続給付→※8高年齢雇用継続給付、介護休業給付
※8(更に)→高年齢雇用継続基本給付金、高年齢再就職給付金
に枝分かれします。
この体系図を記憶できると、「この法律のどこを勉強しているのか?」が、把握できることから、その後の学習が非常に取り組みやすくなります。
過去問(平成14年度択一試験)をチェック
雇用保険では、労働者が失業した場合及び労働者について雇用の継続が困難になる事由が生じた場合に必要な給付を行う失業等給付のほか、失業の有無を問わず労働者の自発的な教育訓練の受講を支援する教育訓練給付と、雇用安定及び能力開発のいわゆる二事業を行っている。
体系図を頭に入れておけば解答できそうだ...
雇用安定事業等
失業等給付よりも出題確率は低いけど、定期的に出題される論点でもあるんだな。
ポイント
- 選択式試験では、直近10年間を振り返ると平成24年度・平成29年度に出題実績あり
- 条文の出題がメイン
費用の負担
費用負担の中で最重要論点は
- 国庫負担
です。
国庫負担で問われるパターンは、給付内容が国庫負担に該当するか、該当する際は負担割合の2点です。
効率よく理解するためには、失業給付等と同じように体系図にして覚えるのがおすすめです。
ポイント
- 国庫負担が少ないものから覚えていく方が効率的
雑則
雑則の頻出論点は
- 時効と罰則
の2つです。
過去問題からの類似論点が出題される傾向が高いので、過去問対策を行えば、得点できます。
ポイント
- 過去の問題が焼き直しで出題されるため、過去問対策を徹底的にしておくと得点が獲得できる
雇用保険法における社労士試験勉強方法3つのコツ
重要なことは、体系図で内容を整理することなんだな。
勉強方法3つのコツ
- 条文の理解
- 用語や数値など基礎・頻出論点の徹底学習
- 過去問学習をなんども繰り返す
条文の理解
ポイント
- 目的条文は法律全体の目的を凝縮しているキーワードが盛り込まれているので、基礎理解の促進につながる
- 直近10年間で、平成22、28年度の2回選択式試験で出題されている頻出論点
用語や数値など基礎・頻出論点の徹底学習
雇用保険法では、用語の定義や数値が問題としてよく問われるため、正確に暗記することが求められます。
被保険者の該当者とはと問われれば、適用事業に雇用される労働者であって、適用除外事由に掲げる者以外のものをさします。
具体的には
- 1週間に20時間以上
- 31日以上雇用見込みがある
- 65歳未満は「一般被保険者」・65歳以上は「高年齢被保険者」
の両要件は満たしている場合(参照厚生労働省)に限られます。
間違えて覚えがちですが、労災保険には被保険者の概念ないため、1週間の所定労働時間などの要件は定められていません。
なので、労働基準法上の労働者に該当すれば労災保険は適用されます。
労働保険と雇用保険のように、択一式試験では学習が進んでくることで科目間で頭がごちゃごちゃになりやすい論点を狙って選んで出題される傾向が強いため、しっかりと頭の中で整理して記憶することが重要です。
ポイント
- 離職:事業主との雇用関係が終了をさすため、解雇に限らず、契約期間満了、任意の退職なども該当する
- 失業:被保険者が離職し、労働の意思及び能力を有するにも関わらず、職業に就くことができない状態をさす
- 賃金:名称のいかんにかかわらず、事業主が労働者に支払ったもの、労働の対償として支払ったものの2要件を満たした場合に該当する
過去問学習をなんども繰り返す
暗記すべき頻出論点や出題傾向を把握するには直接出された問題から学ぶのが手っ取り早いんだな。
- 暗記すべき頻出論点や傾向把握
には過去問を多くこなすことが重要です。
時間をかけずに最大の効果を得るには、思考力(理解)ではなく、何度も解いてとにかく暗記する意識を持つことが大切です。
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社労士試験における雇用保険法の頻出論点の覚え方・暗記方法のコツ
のコツ
- 延長給付は優先順位で頭を整理
- 適用除外は語呂で暗記
- 国庫負担は負担がない給付から覚える
延長給付は優先順位で頭を整理する
ここをしっかりと把握しておくと、延長給付の整理がしやすくなるんだな。
所定の給付日数分の失業手当(正式には基本手当、以下失業手当)だけでは有効な効果を発揮しない場合もあることから、延長給付が設けられています。
種類としては、訓練延長給付、個別延長給付、広域延長給付、全国延長給付、地域延長給付の5つです。
ポイントは、優先順位の高い延長給付が行われる場合には、当初の延長給付を一旦中断し、優先順位の高い延長給付が終了した後で、当初の延長給付を再開することになることです。
優先順位は
- 個別延長給付又は地域給付
- 広域延長給付
- 全国延長給付
- 訓練延長給付
の順番となります。
平成25年度択一試験を例に過去問をチェック
広域延長給付を受けている受給資格者については、当該広域延長給付が終わった後でなければ全国延長給付は行わず、全国延長給付を受けている受給資格者について広域延長給付が行われることとなったときは、広域延長給付が行われる間は、その者について全国延長給付は行われない。
順番を整理しておけば解答できそうだ...
語呂合わせだと覚えやすい
どうすればいいんだろう...
社労士試験では、似たような用語や数値を暗記することが必要となりますが、文字通り全てを記憶するのは不可能に違いです。
だからこそ、暗記や記憶を手助けする作業として、語呂合わせはとても有効です。
しかも、語呂合わせでの暗記を行えば、覚えてしまえば歩きながらでもアウトプットが可能となるため、反復学習がスピーディーに行えます。
延長給付の優先順位を例に挙げて説明すると、順番は個別延長給付又は地域給付>広域延長給付>全国延長給付>訓練延長給付でした。
これを文字面の通り覚えるとなかなか暗記しづらいので、各給付の頭文字をとり
- ココウゼンクン
と覚えてしまうだけでOKです。
問題を解く際にはココウゼンクンさえ思い出せれば、後は頭文字を当てはめていけば解答できてしまいます。
ポイント
- 語呂合わせの覚え方は、形式にこだわる必要はないのであなたが暗記しやすい語呂でOK
国庫負担は負担がない給付を先に覚える
頭がこんがらがってしまうぅぅ...
また、国庫負担がない給付の方が数が少ないから、暗記効率が高いんだな。
国庫負担がない給付一覧
- 高年齢求職者給付金に関する費用
- 就職促進給付に関する費用
- 教育訓練給付に関する費用
- 雇用継続給付のうち、高年齢雇用継続基本給付金および高年齢再就職給付金
- 雇用保険法62条および63条に係る雇用保険二事業に関する費用
平成29年度の択一式試験で過去問をチェック
雇用保険法によると、高年齢求職者給付金の支給に要する費用は、国庫の負担の対象とはならない。
整理して覚えれば、簡単だ...
まとめ
だから、基礎論点だけを何度も何度も復習してほしいんだな。
雇用保険法科目で得点を獲得する勉強は難しくなく
- 基礎論点の繰り返し学習
すれば誰でも攻略可能科目です。
そのために、体系図を使って暗記する内容を整理する、似たような論点は語呂合わせで記憶することが、社労士試験における雇用保険法突破につながります。