しかも、社労士(社会保険労務士)の試験の中でも、しっかり勉強すれば努力が報われやすい科目でもあるんだな。
労働基準法は、賃金や労働時間など労働者の保護を目的に労働条件の最低基準を学びます。
労働関関係法令の基礎となる法律であるため、社労士(社会保険労務士)試験の中で、労働基準法は必ず得意分野にすべき科目です。
- 過去問の頻出論点をしっかり押さえて、愚直に暗記を繰り返す
ことが社労士試験勉強方法における労働基準法のコツです。
社労士における労働基準法の難易度
社労士における労働基準法の難易度は
- 易
です。
労働基準法は労働関係法令の基礎、そして多くの受験生が勉強に時間を費やす科目であることから、本試験で労働基準法科目に救済が入ることまずありません。
そのため、労働基準法は必ず得意科目にしておく必要があります。
だから、長い文章を読みとく理解力をつけないと得点を重ねることができないんだな。
労働基準法の問題数と配点
問題数と配点
- 選択式:問題数5、配点3点
- 択一式:配点7点
選択式が3/5点、択一式が7/10点と労働基準法がメインとなるから重点的な学習が必要なんだな。
社労士の労働基準法における勉強範囲
難易度は易しいけど、学習する内容は多岐にわたるんだな。
労働基準法とは、昭和22年に制定された労働条件に関する最低基準について定められた法律(参照厚生労働省)で、使用者(会社)に対して弱い立場にある労働者の保護を目的としています。
選択式では判例からの出題が多く、公序に反するもの、解除条件など法律の知識が必要な問題も出題されます。
択一式においては労働時間、割増賃金、解雇、年次有給休暇からの出題が多くなっています。
通達や判例からの出題も多く、細かい知識よりも理解を問う問題が多いのも特徴です。
労働基準法の勉強範囲
- 総則
- 労働契約
- 賃金
- 労働時間・休憩、休日及び年次有給休暇 年少者、妊産婦、技能者養成
- 災害補償
- 就業規則
- 寄宿舎
- 監督機関、罰則等
労働基準法科目における頻出論点
つまり、勉強した内容が得点に反映されやすい費用対効果が高い勉強範囲と言えるんだな。
社会保険労務士の試験は出題範囲は広いものの、過去問を分析すると頻出論点は明確に存在します。
頻出論点を必ずおさえておくことが、社労士の合格には絶対的に必要となります。
4つの頻出論点
- 労働契約
- 賃金
- 労働時間・休暇、休日及び年次有給休暇
- 改正労基法
労働契約
ポイントは4つ
- 労働法違反となる労働契約
- 契約期間
- 労働条件の明示
- 解雇
労働法違反となる労働契約
学習のポイントは
- 労働基準法の基準に達しない場合
- 無効となった場合の労働契約
の2つです。
参考厚労省HP
ポイント
- 労基法に達しない労働契約を結んだ場合はどうなるかは超頻出論点
- あなたが労働法違反となる労働契約をする会社に入ったとしたら(養う家族がいる場合は尚更)どうすればよいのか?と自分事に置き換え学習が理解を早めるコツ
契約期間
期間の定めのある働き方をしている場合の決まりを定める法律で、原則は長期的な拘束を避ける意味で上限は3年です。
原則を暗記することはもちろん大事ですが、専門的知識を有する労働者や満60歳以上の労働者など例外として適用される時効が試験ではよく問われる論点となっています。
メモ
- ベースである原則をまずは理解・暗記する。
- 次に、試験で問われやすいポイントの例外となる事項の暗記をすべき
労働条件の明示
労働契約を結ぶ際には、労働条件を必ず明示する義務がかされます。
労働条件が何も明示されないまま働き始めてしまい、労使間での認識の違いからトラブルになるのは実務でもよく起こりがちです。
トラブルを生まないためにも
- 労働契約の期間に関する事項
- 期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準
- 就業の場所、従事すべき業務に関する事項
- 労働時間に関する事項(始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無等)
- 賃金に関する時効(昇給に関する事項は書面交付義務なし)
- 退職に関する事項(解雇の事由を含む)
など明示しなければならない項目が決まっているので、必ず暗記すべきです。
ポイント
- 明示しなければならない項目が本試験ではよく問われる
- 絶対明示事項(必ず明示しなければいけない事項)と相対的事項(定めがある場合に明示すべき事項)の2つに分けて考える
解雇
解雇には
- 解雇できない期間
- 予告する際の決まりごと
などが存在し、日本は諸外国と比べて解雇にはとても厳しいルールが科されています。
通常のサラリーマンと妊産婦の方とでは何か違いはあるかなど択一式試験では細かい論点が出題される傾向にあります。
ポイント
- 択一試験だけでなく、平成28、30年は選択式試験でも出題実績あり
賃金
3つの頻出論点
- 賃金・平均賃金
- 賃金支払いの原則
- 割増賃金
賃金・平均賃金
お金をたくさん貰えることに越したことはないから、しっかり知識をつけないと...
解雇予告手当、休業手当、年次有給休暇中の賃金、災害補償及び減給の制裁の制限額を算定する場合の算定基礎となる知識が問われます。
実費弁償的な旅費は賃金に当たるかなど、より身近な問題が問われることも多いため、
- あなた自身の社会経験に当てはめながら学習
すると理解が早まります。
ポイント
- 択一試験では平成29年を除き過去10年間毎年出題されてい重要論点
賃金支払いの原則
賃金の支払い5原則とは
- 通貨払い
- 直接払い
- 全額払い
- 毎月1回払い
- 一定期日払い
です。
条文がそのままよりも、通達から出題される傾向が高いので、必ず通達には目を通す必要があります。
ポイント
- 条文からの出題だけでなく通達からなど、幅広い問われ方をされる
- 問われ方が変わっても本質が分かっていれば解答可能であるからこそ、根本的な考え方を理解すべきでき
割増賃金
割増賃金は
- 時間外割増
- 深夜割増
- 休日割増
など状況に応じて賃金を割増する率(割合)に決まりが定められており、事例問題からこれらの状況を読み取り解答する応用問題が近年は出題されています。
事例問題になると難易度が高める傾向にありますが、過去問を繰り返し解くことで基礎理解さえできていれば、必ず得点は獲得できる論点です。
ポイント
- 繰り返しの学習さえできれば得点を重ねられる論点だからこそ、得点源にすべき分野
- 通達、判例からの出題実績もあり
- 平成28択一式試験では計算方法、平成30年択一式試験には事例問題が出題
労働時間・休憩、休日及び年次有給休暇
どんな内容が問われるんだろう...
だから条文の暗記だけじゃなくて、必ず判例や通達にも目を通す必要があるんだな。
頻出論点は4つ
- 労働時間
- 休憩、休日
- 時間外、休日労働
- 年次有給休暇
労働時間
労働時間の論点は、条文そのままの出題よりも
- 判例や通達からの出題がほとんど
です。
そのため、条文を理解しつつも判例や通達に目を通する必要があり、なかでも最高裁判例・三菱重工長崎造船所事件は必ず押さえるべきリーディング的判例と言えます。
ポイント
- 条文そのままの出題は少ない
- 社労士登録後の実務においても非常に重要な部分なため、しっかり学習しておくべき
休憩・休日
出題パターンはある程度決まっており、
- 休憩なら、何時間労働の場合は休憩は何分必要かや、原則一斉に与えなければならない休憩を例外的に一斉に与えない場合の手続き
- 休日なら、原則週に1日は与えなければならないもののその「1日」の考え方(原則として1暦日)等
がよく問われます。
ポイント
- 最高裁判例の目黒電報電話局事件など通達・判例からの出題も多い
休日労働
休日労働も択一式試験での出題が多くを占めます。
最高裁判例・日立製作所武蔵工場事件だけで複数回登場する等、出題される内容にも偏りがあるため、学習がしやすい論点です。
ポイント
- 論点においては、令和元年から平成21年の11年間の全てで択一式試験で出題されている
- 働き方改革の目玉となる時間外労働上限規制も重要論点
年次有給休暇
択一、選択試験のどちらにおいてもよく出題されるから超重要論点なんだな。
年次有給化は、択一式試験、選択式試験のどちらにおいてもよく出題される論点です。
具体的には
- 発生要件
- 付与日数
- 取得方法
- 計画的付与
- 休暇中の賃金
等が問われます。
ポイント
- 選択式試験では最高裁判例からの出題実績が多い
- 働き方改革の目玉である有給休暇の5日時期指定義務の論点は、令和元年度は出題されなかったため、今後は出題される可能性大
改正労基法
改正事項は国としても非常に重要なトピックとなるから、改正内容は出題される傾向が高いんだな。
抑えるべき論点は4つ
- フレックスタイム制の改正
- 時間外、休日労働の改正
- 労働条件明示方法の改正
- 過半数代表者の改正
フレックスタイム制の改正
フレックスタイム(労働者が仕事の開始と終わりの時間を決めることができる制度)の期間が
- 1ヶ月から3ヶ月へ延長
されました。
期間延長にともない、週50時間を超えた場合は割増賃金が発生等新たに追加、また1ヶ月超の期間とする場合は労基署への届け出が必要となった点も抑えておくべきです。
ポイント
- フレックスタイム制は択一式試験では直近では平成30年に改正前の論点で、労働時間の貸借るが論点だった
- 改正後のフレックスタイム制は、労働時間の貸しは可能であることは覚えておくべき
時間外、休日労働の改正
今まで事実上の「青天井」であった残業を労基法上初の罰則付の上限規制を法律として設けました。
ポイントは、原則月45時間、年間360時間であるものの、
- 臨時的な場合は1年につき6回までは超えることが可能
な点です。
しかし、単月で100時間未満、2〜6ヶ月平均で80時間以内にしなければならないことにも注意が必要です。
ポイント
- 単月で100時間未満、2〜6ヶ月平均で80時間以内には休日労働も含まれる
- 中小企業も2020年4月から施行されるので、出題される可能性が大きい論点
過半数代表者の改正
残業や休日出勤するには、事前に届出を出すことを求められます。
その際に代表者を必ず選出する必要があるのですが、代表者選出の要件が改正によって厳しくなりました。
具体的には、
- 知らない間に
- 何の代表者を決めるのか知らなかった
- 選定方法が不適切
などの事実がある場合は代表者選出の要件として認められません。
ポイント
- 過半数代表者の改正として、有名な判例はである最高裁判例のトーコロ事件は目を通しておくべき
- 択一式試験でも複数回(平成15年度、平成23年度)出題実績があり
労働基準法における社労士試験勉強方法のコツ
1番重要なことは、法律の独特の言い回しになれることなんだな。
会社員として働いているのであれば、労働基準法はとても身近なものであるため、さほど難しい内容ではありません。
しかし、労働基準法は1番はじめに勉強する科目として有名なため、法律の独特の言い回しに苦しみ挫折する受験生も多いのも事実です。
約121条と最も多い労働一般常識の法律数のみで約20と比較すると、条文数は少ないため、法律の言い回しが最初は理解できなくても
- 何度も条文に目を通す
ことで慣れてくれば、必ず理解および暗記はできるようになります。
勉強方法4つのコツ
- 条文の理解と暗記
- 通達を確認
- 判例は必ず暗記
- 過去問学習
条文の理解と暗記
暗記できるかなぁ...
だから、条文の理解と暗記は欠かせない勉強方法なんだな。
社労士試験において、条文の理解と暗記は避けては通れません。
理解と暗記には何度も何度も条文にあたることにつきますが、闇雲に覚えるだけでは非常に効率が悪いのは間違いありません。
そこで重要となるのが、手と耳と目の3つをフルに使うことです。
俳優がセリフを暗記するときには実際にしゃべることで覚えるのと一緒で、労働基準法でも何度も何度もの音読によって徐々に体に染み付いてきます。
また、読んでいるだけでは数字などの細い部分まで覚えきれていないことが多々あるため、書いて覚えること重要です。
ポイント
- 条文の理解と暗記には、筆記と音読の両方で覚えると暗記効率がよい
- 1日目に学習した箇所を2日目に復習すると記憶が定着しやすい
平成29年度択一試験問2の過去問を例に解説
何ら事業を営むことのない大学生が自身の引っ越しの作業を友人に手伝ってもらい、その者に報酬を支払ったとしても、当該友人は労働基準法第9条に定める労働者に該当しないので、当該友人に労働基準法は適用されない。
参照平成29年度択一試験 問2ア
ただ、事業とは業として継続的に行われるものに限られるから、何ら事業を営むことのない点が原則に当てはまらないと解釈できるんだな。
ポイント
- 労働基準法は原則として全ての事業に適用される
- しかし、事業とは業として継続的に行われるものを指すため、この友人に労働基準法は適用されない
- すなわち労働基準法上の労働者にも該当しない
通達は必ず確認すべき
だから、頻出論点だけは必ず通達まで確認すると得点力がさらに高まるはずんだな。
ポイント
- 気になった通達はインターネットで調べることも労働基準法理解に効果的
平成28年度問7−A過去問を例に解説
休職発令により従来配属されていた所属を離れ、以後は会社に籍があるにとどまり、会社に対して全く労働の義務が免除されることとなる場合において、休職発令された者が年次有給休暇を請求したときは、労働義務のない日について年次有給休暇を請求する余地がないことから、これらの休職者は年次有給休暇請求権の行使ができないと解されている。
通達を知っていれば簡単に正解できる問題なんだな。
ポイント
- 通達の内容通りなので正解(◯)
- 休職発令を受けた期間は労働義務がないため、年次有給休暇は取得できない点がポイント
頻出する判例は必ずチェックすべき
社労士試験の労働基準法の試験対策として判例の理解は合否を分ける大きなポイントの1つとなります。
判例が試験対策として重要な理由は、昭和22年に施行された労働基準法では現代の社会的状況にマッチしていない部分も多々存在するため、象徴的な判例をモデルケースに以後の判決がなされることが多いからです。
はよく出題される判例なので、必ず目を通しておくべきです。
ポイント
- 判例の結論、その根拠、判決に到るまでの過程の3つが問われやすい
過去問を例に解説
退職金は労働者にとって重要な労働条件であり、いわゆる全額払いの原則は強行的な規制であるため、労働者が退職に際し退職金を放棄する意思表示をしたとしても、同様の趣旨により、当該意思表示の効力は否定されるとするのが、最高裁判所の判例である。
頻出する判例だからこれを機会に覚えておくといいんだな。
ポイント
- 労働者が退職に際し、自ら賃金に該当する退職金債権を放棄する旨の意思表示をした場合、「賃金全額払いの原則」が意思表示の効果を否定する趣旨のものであるとまで解することはできないとされている
過去問による学習
暗記すべき頻出論点や出題傾向を把握するには直接出された問題から学ぶのが手っ取り早いんだな。
- 暗記すべき頻出論点や傾向把握
には過去問を多くこなすことが重要です。
時間をかけずに最大の効果を得るには、思考力(理解)ではなく、何度も解いてとにかく暗記する意識を持つことが大切です。
社労士の労働基準法を強化するのに使えるテキスト
ポイント
- 字面だけなので余計よく分からなくなる負のループに陥いる
- 判例の具体例が豊富に掲載されている参考書で学ぶと理解の促進につながる
TACよくわかる社労士合格テキスト
社労士試験での労働基準法は考えさせる問題が多いため、正しい法律知識を縦断整理しておくことが求められます。
縦断整理に重要となるのは法律内容に加えて、実際の判例や通達の理解・暗記です。
TACよくわかる社労士合格テキスト頻出される通達や判例が、他のテキストや参考書よりも豊富に掲載されているため、労働基準法の強化にとても有効です。
まとめ
労働基準法は社労士試験の中でもそれほど難易度が高くない科目です。暗記が得意な方にとっては有利な科目といえます。
労働基準法は試験に合格し、晴れて社会保険労務士になった時に実務においても知らなければいけない法律ですので詳細まで学習しておいて損はありません。
試験に受かるための勉強ではなく、社労士になったときに労働基準法がすらすら出てきたら素敵だと思いませんか。
社労士試験の学習には1000時間必要といわれています。長く勉強するうちにスランプに陥ることは誰しもあります。
ですが、毎日の積み重ねが合格に繋がりますので毎日少しずつでもテキストに触れてほしいです。
努力は裏切らないので本試験まで精一杯頑張ってください。