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民法と行政法は行政書士試験の要らしいから難しそうだ...
だから、行政法の難易度だけじゃなく、効率的な勉強の進めかたの把握が重要なんだな。
基礎をしっかり固めて問題演習に取り組めば、初学者でも合格点を死守することは決して不可能ではありません。
行政書士の行政法の合格点を獲得する試験攻略のコツを知り、行政法を得意科目にしましょう。
行政書士行政法科目の難易度
行政法の難易度は
- 難
です。
ちなみに行政書士の科目の中の順位は何番目になるんだろう...
行政書士は「業として」行政法に精通し、専門家として国が独占的に認めているため、生命線である行政法の難易度が高くなるのは必然なんだな。
行政書士として行政法が重要な理由と基本的な考え方
それは、国が市民と行政とをつなぐパイプ役を行政書士に期待しているからなんだ。
市民と行政とをつなぐパイプ役を担うためには行政の事情やルールを理解しておくことは必要不可欠です。
そのため、試験で問われる行政法は難易度が高くなっています。
行政書士の試験攻略に行政法と同じくらい欠かせない科目である民法のように、
- 根拠(法令)が無くても合法となる場合がある信義則
といった概念が限りなく排除されていることが特徴です。
ポイント
- 根拠法令がない「処分」=「違法・無効」 or 根拠法令がある「処分」=「合法」
- 上記のどちらにに当てはるのか考えることが解答を導くためのヒントになっている
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行政書士の行政法の出題範囲と出題傾向
とは言うものの、高難度の問題は出題されても数問だけなので、基礎知識を徹底的に習得すれば対策は可能なんだ。
行政法における
- 出題範囲
- 出題傾向
の詳細をご紹介していきます。
出題数と配点
行政法は22問程度出題されます。そして、全体配点の3割強(112点/300点)を占めます。
行政書士の行政法の出題範囲
行政法の出題範囲は
- 法理論(総則)
- 行政手続法
- 行政不服審査法
- 行政事件訴訟法
- 国家賠償法
- 地方自治法
- 行政代執行法
の7つを中心に出題されます。
行政書士の行政法の出題傾向
行政法の出題傾向としては
- 行政行為の根拠となる作用法(=行政手続法・地方自治法など)
- 行政行為に対する救済措置としての救済法(=行政不服審査法・行政事件訴訟法・国家賠償法)
の2つが非常によく問われる論点です。
ポイント
- 救済法は作用法を受けてその後の対応を規定した法律であるため、救済法の理解の前提として「作用法」の知識が不可欠で、カバーすべき知識は広い
- しかし、裏を返すと救済法の理解は作用法の得点にも比例してつながる
- つまり、作用法と救済法はワンセットで勉強することを意識すべき
行政法は得点源にすべき科目
うぅぅ。解けるようになるのか不安だ...
むしろ、得点源科目として行政書士試験を優位に進めよう。
行政法は民法よりもなじみが薄い科目ではあるものの、素直な問題が多いです。
民法では登場人物の活動には「法律上の根拠」が必要ではありません。
であるがゆえに、登場人物の状況を問題から読み取り「どこで落としどころをつけるか」を考えなければなりません。
一方で、行政の活動には原則として「法律の根拠(作用法)」が求められます。
つまり行政法は
- 行政の活動が法的に正しいか(=筋が通っているか)どうか
が正答のポイントとなります。
行政法は非常に細かく、融通性に乏しいですが、それは公の利益(公平性)を確保するために仕方のないこととも言えます。
しかし、それは法的安定性が非常に高いということでもあり、全体の仕組みと根拠法令・救済法を一連として理解できれば、行政法を得意科目にできます。
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行政書士の行政法攻略のコツ
だけど、具体的に何をどうすればよいのかイメージがわかない...。
行政行為は権力性を帯びるため、行政の活動は目的を明確にし、その手段の根拠として行政法が存在していることを抑えると全体像が理解しやすいよ。
行政法の攻略のコツ
- 法理論(総則)で専門用語の意味や制度の全体像・流れを把握
- 作用法で制度の目的(大抵は各法律の第1条に規定されています。これは丸暗記すべき内容です。)を把握
- 目的達成のための根拠法(作用法)の解釈を理解
- 行政と市民の利益が衝突した際の救済措置としての救済法を学習
どちらも行政法の骨格を成す最重要な法律なので、共通点と相違点をしっかりわけて学習すべきなんだ。
民法など他の科目とのつながりを意識しながら勉強する
民法との関係性
行政法は対行政専用の法律であり民法は別物と考えがちですが、視点を変えて考えると似た法律であることがわかります。
地方公共団体は法人であり(地方自治法2条1項)、行政と市民との合意に基づいて何らかの「契約」が結ばれることがあります。
この場合、あくまで「私法上の契約」として考えられるため、私法=民法(対等な立場での取り決め)的な取り扱いとなります。
憲法との関係性
行政法と関係が深い憲法も同様です。
例えば、憲法の第4章以下、統治に関わる条文では、国(中央政府)のルールの大綱を決め、細かな内容はそれぞれの個別法に規定されています。この個別法は行政手続法、地方自治法、国家賠償法の集合体となっています。
憲法と行政法には強い繋がりがあるため、憲法の内容を理解しておくと行政法の習得にとても役立ちます。
民法も憲法も実は行政法と繋がっているのか。憲法と行政法の繋がりは常に意識しなきゃ。
過去問を活用して頻出論点を徹底的に潰す
やるべきは過去問の徹底研究なんだな。
行政法は同じような論点が幾度となく出題されるため、
- 頻出論点の把握と対策が比較的容易
です。
しかし、その分頻出論点の完璧な理解が求められるため、過去問を活用して頻出論点を徹底的に学習すべきです。
ポイント
行政不服審査法と行政事件訴訟法は、それぞれのの違いがよく問われるから特に注意が必要
過去問をチェック
問題
平成27年度 問14(改題:行政書士試験!合格道場)
行政不服審査法に基づく審査請求に対する裁決に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 処分についての審査請求が法定の期間経過後にされたものであるとき、その他不適法であるとき、または審査請求に理由がないときは、審査庁は、裁決で当該審査請求を却下する。
- 不作為についての審査請求に理由があるときは、審査庁は、当該不作為庁に対しすみやかに申請を認める処分をすべき旨を命ずるとともに、裁決で、その旨を宣言する。
- 処分についての審査請求に理由があり、審査庁が裁決で当該処分の変更を命ずることができる場合において、公の利益に著しい障害が生じることを防ぐため必要があると認めるときは、審査庁は、審査請求人の不利益に処分の変更を命ずることもできる。
- 事実上の行為についての審査請求が理由がある場合、上級行政庁である審査庁は、裁決で、当該事実上の行為が違法又は不当である旨宣言するとともに、当該処分庁に対し、当該事実上の行為の全部若しくは一部を撤廃し、又はこれを変更すべき旨を命ずる。
- 処分についての審査請求の裁決には、行政事件訴訟法の定める事情判決と同様の事情裁決の制度があるが、事情裁決が行われるのは、処分が違法である場合に限られ、処分が不当である場合には行われない。
平成28年度 問16(行政試験試験研究センターより引用)
行政不服審査法の定める審査請求に対する裁決に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 処分についての審査請求が不適法である場合や、審査請求が理由がない場合には、審査庁は、裁決で当該審査請求を却下するが、このような裁決には理由を記載しなければならない。
- 処分についての審査請求に対する認容裁決で、当該処分を変更することができるのは、審査庁が処分庁の上級行政庁または処分庁の場合に限られるが、審査庁が処分庁の場合は、審査請求人の不利益に当該処分を変更することもできる。
- 不作為についての審査請求が当該不作為に係る処分についての申請から相当の期間が経過しないでされたものである場合その他不適法である場合には、審査庁は、裁決で、当該審査請求を却下する。
- 法令に基づく申請を却下し、または棄却する処分の全部または一部を取り消す場合において、審査庁が処分庁の上級行政庁である場合、当該審査庁は、当該申請に対して一定の処分をすべきものと認めるときは、自らその処分を行うことができる。
- 不作為についての審査請求が理由がある場合において、審査庁が不作為庁の上級行政庁である場合、審査庁は、裁決で当該不作為が違法または不当である旨を宣言するが、当該不作為庁に対し、一定の処分をすべき旨を命ずることはできない。
解説
平成27年度問14(改題)選択肢1と平成28年度問16選択肢1と3
平成27年度問14(改題1)選択肢1
処分についての審査請求が法定の期間経過後にされたものであるとき、その他不適法であるとき、または審査請求に理由がないときは、審査庁は、裁決で当該審査請求を却下する。
平成28年度問16選択肢1
処分についての審査請求が不適法である場合や、審査請求が理由がない場合には、審査庁は、裁決で当該審査請求を却下するが、このような裁決には理由を記載しなければならない。
平成28年度問16選択肢3
不作為についての審査請求が当該不作為に係る処分についての申請から相当の期間が経過しないでされたものである場合その他不適法である場合には、審査庁は、裁決で、当該審査請求を却下する。
却下裁決とは
必要な条件を満たしていない時に審査請求を却下できる権利
棄却裁決とは
内容を審議した結果、審査請求を却下できる権利
平成27年度4(改題1)選択肢1と平成28年度問16選択肢1は却下裁決、平成28年度問16選択肢3棄却裁決を問うていることがわかります。
また、平成27年度4(改題1)選択肢1と平成28年度問16選択肢1はほぼ同じ内容を問うており、頻出論点の対策ができていれば正誤を簡単に判断できるように問題が作成されているのがお分かりいただけるはずです。
ポイントは却下裁決と棄却裁決の要件をしっかりと理解できているかどうかなんだな。
平27年度問14(改題)選択肢2、4と平成28年度問16選択肢5
不作為についての審査請求に理由があるときは、審査庁は、当該不作為庁に対しすみやかに申請を認める処分をすべき旨を命ずるとともに、裁決で、その旨を宣言する。
事実上の行為についての審査請求が理由がある場合、上級行政庁である審査庁は、裁決で、当該事実上の行為が違法又は不当である旨宣言するとともに、当該処分庁に対し、当該事実上の行為の全部若しくは一部を撤廃し、又はこれを変更すべき旨を命ずる。
不作為についての審査請求が理由がある場合において、審査庁が不作為庁の上級行政庁である場合、審査庁は、裁決で当該不作為が違法または不当である旨を宣言するが、当該不作為庁に対し、一定の処分をすべき旨を命ずることはできない。
ポイント
- 行政庁の処分については、その処分に不服がある者は、審査請求できる
- 法令に基づき行政庁に対し処分についての申請をした者は、その申請から相当の期間が経過しても不作為(法令に基づく申請に対して何らの処分もしないこと)がある場合には、審査請求できる
- ただし、第7条の規定(例:国会法第121条で定める国会議員への懲罰)や個別法の規定により適用除外とされている処分・不作為については、審査請求をすることができない
行政書士試験の行政法では、これらのように同じ論点が繰り返し出題されています。
また、選択肢の内容も類似しており、文章の意図する内容を正確に理解できるかがポイントとなります。
ポイント
- 1つの論点を様々な角度や言い回しによって理解度が問われる
- だからこそ、過去問で頻出論点を徹底的に潰すことが重要
行政書士の行政法攻略における注意点
それで行政法の勉強を初めるにあたって注意すべき点は何があるの?
特に、行政事件訴訟法は難易度が高いので基礎レベルの理解だけで十分なんだな。
行政法は根拠法令である作用法で裏どりをし、市民と行政との利益が衝突した際の措置として「救済法」を学習していくことであるが肝要ですが、制度自体や概念が複雑であることが行政法の理解を難しくしています。
テキストや過去問以外の内容を理解しようとしてしまいがちですが、問われている本質はシンプルな内容に過ぎないため、基本的な内容の徹底に努めることが大切です。
ポイント
- 基礎論点以外は余計だと感じるくらい、基本的な内容の徹底理解が重要
- そのためには捨て問を見抜く力を養い、問題に優先順位をつけること
- 過去問は試験改正が行われた平成18年度以降のものを利用するのがおすすめ
過去問は平成18年度以降のものを基本にすべき
平成18年度以前とは問題内容が少し違うので、あまり参考にならないんだよ。
ポイント
- 行政書士試験はかつては暗記中心で、法知識さえあれば解ける問題がメインだった
- しかし、平成18年度から試験制度が大幅に改正された後は、暗記(法知識)に加え、読解力や思考力を問う応用的な問題が増加している
- そのため、それ以前の試験問題はあまり参考にならない
-
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まとめ
だから、ぜひ行政法を得意科目にしてほしいんだな。
行政書士試験において、行政法は民法とともに最重要科目です。
行政法は非常に理路整然としており、行政の活動のほぼ全てには根拠法令(=作用法)が存在しています。
行政法の条文1つ1つについてなぜこの規定が存在するのかの意識を持って学習していくことが行政法を理解するコツです。
そして、行政法科目内での話だったけど、線で捉えるのはにも共通
- 行政法科目内
- 憲法など他科目
に共通する部分を点ではなく線で捉えることが実力を伸ばすために重要です。