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だけど、頻出論点でしっかり得点できれば合格点は確保可能な科目でもあるんだな。
経営法務は会社法、知的財産関連法など会社経営に関わる法律知識を学びます。
中小企業診断士は法律の専門家ではないため、問われる知識は比較的浅いですが、法律が苦手、暗記が苦手だと対応が難しいです。
- 頻出論点の会社法と知的財産関連法でしっかりと得点を重ねる
ことが経営法務の中小企業診断士試験勉強方法(攻略法)のコツです。
[かなり難しい]経営法務(中小企業診断士)の難易度(レベル)
経営法務の難易度は、ここ数年の傾向から
- かなり難しい
と言えます。
平成30年度は平均点がかなり低くなったため、全員に8点加算されるという前代未聞の大きな得点調整が行われたほどです。
経営法務の問題数と配点
問題数と配点
- 問題数は25問(年度によって例外あり)
- 1問あたりの配点は4点
- 試験時間は60分
問題数が減れば、その分1問あたりにかかる比重が高まるから、プレッシャーがのしかかってきてしまうんだな。
経営法務の科目合格率推移
年度 |
合格率 |
2024年度 |
13.2% |
2023年度 |
19.8% |
2022年度 |
27.0% |
2021年度 |
12.8% |
2020年度 |
10.1% |
2019年度 |
5.1% |
2018年度 |
8.4% |
2017年度 |
6.3% |
2016年度 |
11.4% |
2015年度 |
10.4% |
2019年度(平成30年度)は+8点の得点調整が行われました。また、2018年度(平成29)年度も中小企業診断士協会の正解誤発表により、1問が全員正解とされる措置が取られ、事実上全員に4点が加算されています。
にも関わらず科目合格率が一桁であることが難易度の高さを物語っています。
2020〜2024年は10〜20%台ではあるものの、毎年難易度が高い科目だと言えます。
複数受験を考えているなら
- 経営法務は例年の科目合格率が低いため、1発で合格できない可能性が大いに考えられる
- しかも、二次試験に直接的には関わらない科目
- 受験最初の年で合格がベスト
中小企業診断士試験における経営法務の勉強範囲は4つ
中小企業診断士の試験案内に記載されている経営法務の科目設置目的をみてみると、
創業者、中小企業経営者に助言を行う際に、企業経営に関係する法律、諸制度、手続等に関する実務的な知識を身につける必要がある。また、さらに専門的な内容に関しては、経営支援において必要に応じて弁護士等 の有資格者を活用することが想定されることから、有資格者に橋渡しするための最低限の実務知識を有してい ることが求められる。このため、企業の経営に関する法務について、以下の内容を中心に基本的な知識を判定する。
と書かれています。
- 企業経営に関する法律、諸制度、手続等に関する実務的な知識
が主な勉強範囲となります。
経営法務の頻出論点
企業経営に関する法律、諸制度、手続等に関する実務的な知識のうち頻出論点として
- 民法(市民生活や事業などにおける基本的な事項)
- 会社法(会社の形態や組織等について定めた法律)
- 知的財産関連法(特許や実用新案、商標など)
- その他(資本市場、倒産等独占禁止法、国際取引等)
の5つです。
あと、民法では相続などの事業承継関連の出題が多くなっているんだな。
メモ
- 昨今の中小企業の取り巻く現状を反映しているため、事業承継関連の問題は今後も出題頻度が高いと予測される
- 中小企業経営・政策の得点アップにもつながるため、中小企業白書で中小企業の現状を理解しておくことも大切
-
-
中小企業経営・政策における中小企業診断士試験対策のコツ
関連記事 中小企業診断士の難易度 独勉クン中小企業経営・政策はどのくらい難しいのだろうか... 中小企業経営・政策の難易度はやや難なんだ。 ただ中小企業診断士の試験の中でも、しっかり勉強すれば努力が報 ...
民法
民法の分野は、
- 物件
- 債権
- 相続
の3つです。
民法の頻出論点
民法で必ず抑えておくべき論点は、
- 期限の利益の喪失
- 債権、契約
- 相続(遺留分)
の3つです。
相続は事業承継でも大きなポイントになっているから、めっちゃ重要なんだな。
会社法
会社法の分野は、
- 株式
- 会社の期間
- 会社の計算
- 事業の開始
- 法人の事業開始
- 届出・手続き等
- 合併の手続き
- 倒産等の手続き
の8つです。
会社法の頻出論点
会社法で必ず抑えておくべき論点は、
- 株式会社に関する知識(役員の任期、人数等)
- 組織再編
の2つです。
自分の会社にあてはめて考えると、身近に感じられて頭に入りやすいんだな。
ポイント
- 株式会社の機関および種類はテキストや参考書などに必ず図表でまとめられているので、丸ごと覚える
- 組織再編は頻出論点の中の頻出論点であるため、会社分割と事業譲渡は重点的に学習すべき
知的財産関連法
知的財産関連法の分野は、
- 産業財産権
- 著作権
- 知的財産権
の3つです。
知的財産関連法の頻出論点
知的財産関連法で抑えておくべき論点は、
- 特許法
- 意匠
- 商標
- 著作権関連法
- 不正競争防止法
の5つです。
ポイント
- 知的財産関連法からの出題は多いため、経営法務の中で最も重要な分野
- 特許権、意匠権、商標権は誰の何が対象になるのか、詳細な理解が必要
- 過去の裁判事例など係争となったケースを調べてると理解しやすい
その他
その他の分野は、
- 契約に関する基礎知識
- 契約の類型と内容
- 資本市場に関する基礎知識
- 有価証券報告書とディスクロージャー
- 社債発行の手続
- 株式公開手続
の6つです。
その他の頻出論点
その他の中で特に抑えておくべきは、
- 英文条約
です。
英語が苦手な独勉クンは割り切って英文条約は捨て問にして、会社法や知的財産関連法の強化に時間を回すべきなんだな。
[イメージ暗記法]経営法務(中小企業診断士)における勉強方法のコツ
経営情報システムや中小企業経営・政策と同様に、経営法務の勉強は
- 暗記が全て
です。
法律は毎年改正されるため、最新版のテキストや過去問を必ず利用すべきことに注意が必要。
さらに、出題割合のうち
- 会社法
- 知的財産関連法
で6~7割を占めているため、この2論点を集中的な学習が経営法務における中小企業診断士試験対策のコツです。
暗記が苦手な場合はテキストで覚えるのではなく、参考書の図表をそのまま暗記してしまうイメージ暗記法が有効です。
個人差はありますが、文字よりも視覚(イメージ)で覚えた方が記憶定着しやすいため、暗記が苦手な場合には積極的に活用すると記憶が定着しやすくなります。
3つのスケジュール
- 序盤
- 中盤
- 直前期
序盤は法律ごとに何を規定しているかイメージを掴む
テキストを一読し、概要をつかみます。
細かい数字の暗記は後回しで問題ないので、
- 法律ごとに何を規定しているのか
イメージを掴むのが大切です。
中盤は会社法・知的財産関連法を中心に細かい数値を暗記
会社法、知的財産関連法を中心に
- 細かい数値を覚える
段階です。
一度にすべて暗記は不可能だから、忘れても気にせず、繰り返し読み返して覚えればOKなんだ。
ポイント
- 暗記するのに暗記カードを作って覚えると効率的
- しかし、カード作成に多くの時間を費やしても1点にもならない
- だから、どうしても覚えられない点や頻出論点のみに絞ってのがベスト
直前期は過去問を解いて実践力を高める
試験直前期は、再度暗記事項の確認です。
テキストを見返しながら、うろ覚えのポイントをチェックしていきます。
ケース問題にも対応できるよう
- 過去問を解いて実践力を高める
最終段階です。
模試でゲットした最新情報が本試験で得点につながることも少なくないんだな。
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7つの中小企業診断士独学合格ノウハウ 独勉クン 中小企業診断士の模試は実力試しに使うものだよね? 良い点数とれなかったら落ち込みそうだ... 実力試しはもちろん1つの使い方なんだ。 ただ、中小企業診断 ...
過去問を例に解説
イメージがつかみやすいように、平成30年度第12問の過去問(知的財産関連法)を使ってご紹介します。
中小企業診断士の1次試験科目経営法務:平成30年度第12問
中小企業診断士だるあなたと、地元の民芸品を扱う事業協同組合Xの理事である甲氏との間で行われたものである。会話の中の空欄に入る語句として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
甲 氏:「うちの民芸品は全国的にも有名だと思うのですが、知的財産権で保護す ることができないでしょうか。」
あなた:「そうですね。意匠や実用新案は新規性が要求されますから難しいでしょ う。でも、商標には立体商標という制度があります。実際、飛騨地方の 『さるぼぼ』や太宰府天満宮の『うそ』が、『キーホルダー』を指定商品とした立体商標として商標登録を受けているんですよ。」 甲 氏:「へぇ、立体の商標ですか。」
あなた:「そうです。
の立体商標は、『使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるもの』なら ば、商標登録を受けることができますから、長年使用されている民芸品は 立体商標の登録を比較的受け易いのです。」 甲 氏:「なるほど。長年使っているからこそ登録を得られる商標があるのですね。」 あなた:「地元の弁理士さんを紹介しますので、相談してみてはいかがでしょう。」 甲 氏:「よろしくお願いします。」
〔解答群〕
ア その商品の形状等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標
イ その商品又は役務について慣用されている商標
ウ その商品又は役務の普通名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標
エ 他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標
出典:中小企業診断協会
経営法務のケース問題は上記のように、中小企業診断士(あなた)と経営者の会話形式での出題が多いです。
ケース問題と言っても、法律以外の面からも多面的に考えさせるものではなく、知っているかいないかだけの知識問題となっています。
立体商標とは
商品や商品の包装そのものの形状としたり、役務(サービス)を提供するための店舗や設備に設置することにより使用され、商品や役務の提供元を需要者に伝達し、他者が提供するそれらと区別するための標識としての機能を果たす(出所表示機能、自他商品識別機能)商標。
立体商標の知識を暗記していれば簡単に解答できるんだ。
メモ
法改正への対応は公開模試の受験が効率良い
試験の予想問題として模試を作成しているから、重要箇所を効率よく学習できるんだな。
ポイント
- 様々な分析をしたう上で、予想問題として模試が作成されるため、自分でむやみやたらに情報収集するよりもよっぽど確度が高い
- だからこそ、直近の法改正への対応は公開模試を受験して情報収集するのがベスト
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知って損はない!経営法務の英文条約の対処法
何しろ英語が分からないから問題がさっぱり分からない...
でも、年度によっては3問12点でることもあるから今から教える最低限の単語を覚えてのぞめばOKなんだな。
経営法務において英文条約は勉強時間をかける割に得点がとりずらいため、費用対効果が悪い論点です。
英語が得意なら得点を確保するのは容易ですが、そうでないのであれば尚更です。
しかし、年度によっては12点(3問×4点)も出題されることもあるので、問われやすい最低限の英単語知識は覚えておけば難易度の低い英文条約問題なら得点を積み上げられるようになります。
- Aritcle 第××条
- Confidentiality 秘密保持
- Duty of Confidentiality 秘密保持義務
- Non-competition 競業禁止
- Force Majeure 不可抗力
- Govering Law 準拠法
- Obligations after Termination 契約終了後の義務
- Term of Agreement 契約期間
- Temination 契約の終了
- and/or 両方またはいずれか一方
- giving awritten noteice 書面による通知
- in no way いかなる場合も(~しない)
- must endeavor to するように努めなければならない
- provided,however,tatthis shall not apply 但し、~は、この限りでは無い
- representsandwarrantsthat ~を表明し保証する
- shall not preclude ~することを妨げない
- without prior written consent 書面による事前の同意無しに
- approval、permit 許可、承認
- breach 違反
- Conflict of interests 利益違反
- obtain 手に入れる
- prejudice、infinge 侵害
- termination (期間等の)終了、満期
- performance 履行
- disputes 紛争
- proprietay right 所有権
- intellectual proprety right 知的財産権
- patent 特許
- claim 請求
- corporate reorganization:「会社更生」
- failure to perform 契約不履行
- liquidation of a company 会社清算
- bankruptcy 破産
- written notice 書面による通知
- immediate 直ちに
- confidential 機密の
- contract 契約、請負
- provide 規定する
- burden of proof 立証責任
ポイント
- 英文条約の問題は基本的に捨て問題でOK
- 時間があるのであれば、基礎的な英単語を暗記しておくことで難易度の低い問題は得点できるようにしておくべき
- ただし、費用対効果は低いので深追いはしないよう注意
中小企業診断士の経営法務が苦手ならテキスト以外に参考書も活用しよう
ポイント
- 中小企業診断士のテキストだけだと淡々と法律内容が列記されており、初学者だとなかなか理解が進まない
- 字面だけなので余計よく分からなくなる負のループに陥いる
- マンガや図解などイメージ暗記法で学んだ方が理解促進につながる
- 初学者向けのマンガや図解を豊富に利用した参考書を厳選2冊紹介
ここだけ押さえる! 会社法のきほん/神田秀樹著
マンガや図解を豊富に利用しながら、会社法の基礎の基礎をわかりやすく説明している名著。
中小企業診断士受験生向けのものではありませんが、中小企業診断士の試験範囲に関連するものばかりです。
会社法を全く知らない方でも、マンガを読み進めていくだけで大枠をつかめるようになっています。
楽しく学べる「知財」入門/穂積健一著
マンガではありませんが、
- 1・2・3・ダァーッ!を叫んだら商標権侵害なのか!?
など身近な事例をもとに知的財産の解説となっているので、非常にわかりやすくとっつきやすい参考書です。
テキストの暗記が一番であることは忘れないでほしいんだな。
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中小企業診断士における最強のテキスト
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まとめ
近年は難問・奇問のオンパレードで科目合格狙いの中小企業診断士の受験生には鬼門となっている経営法務。
非常に細かい論点まで出題されることも多くなってきており、対策が難しいのは間違いありません。
ただ、それでも
- 会社法
- 知的財産関連法
の頻出論点をきっちり勉強できれば60点は突破は可能です。
同じ暗記科目としてあげられる経営情報システムも同じような考え方でいいのかな...
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