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ただ中小企業診断士の試験の中でも、しっかり勉強すれば努力が報われやすい科目でもあるんだな。
中小企業経営・政策は、中小企業を取り巻く環境や具体的な支援施策の知識など、中小企業診断士として活動するために必ず理解しておくべき内容を学びます。
そして、暗記科目である経営法務のような難問・奇問は少なく、対策すれば努力が報われやすい特徴を持っています。
二次試験にもつながる主要科目の企業経営理論や財務会計、運営管理に力を注ぐことが最終合格に近づくため、中小企業経営・政策はあまり時間をかけず効率的な勉強方法が求められます。
[やや難しい]中小企業診断士試験における中小企業経営・中小企業政策の難易度(レベル)
中小企業経営・政策の難易度(レベル)は
- やや難
です。
覚えることが多く、細かい数字まで問われるので、暗記が苦手な方にはやっかいな科目です。
経営情報システムや経営法務と違って難易度は比較的安定しています。
中小企業経営・中小企業政策の問題数と配点
問題数と配点
- 問題数は42問
- 出題・配点は中小企業経営と中小企業政策でおおよそ半分ずつ
- 配点は1問あたり2~3点と低い
- 試験時間は90分
中小企業経営・中小企業政策の科目合格率推移
科目合格率の推移は以下の通りです。
年度 |
合格率 |
令和6年度 |
5.6% |
令和5年度 |
20.6% |
令和4年度 |
18.5% |
令和3年度 |
7.1% |
令和2年度 |
16.4% |
令和元年度 |
5.6% |
平成30年度 |
23.0% |
平成29年度 |
10.9% |
平成28年度 |
12.5% |
平成27年度 |
12.2% |
平成26年度 |
31.2% |
[頻出論点も紹介]中小企業経営・中小企業政策(中小企業診断士)の勉強範囲
中小企業診断士の第1次試験案内に記載されている中小企業経営・中小企業政策の科目設置目的をみてみると、
中小企業診断士は、中小企業に対するコンサルタントとしての役割を期待されており、中小企業経営の特徴 を踏まえて、経営分析や経営戦略の策定等の診断・助言を行う必要がある。そこで、企業経営の実態や各種統 計等により、経済・産業における中小企業の役割や位置づけを理解するとともに、中小企業の経営特質や経営 における大企業との相違を把握する必要がある。また、創業や中小企業経営の診断・助言を行う際には、国や 地方自治体等が講じている各種の政策を、成長ステージや経営課題に合わせて適切に活用することが有効である。 このため、中小企業の経営や中小企業政策全般について、以下の内容を中心に知識を判定する。
と書かれています。
中小企業経営・政策はその名の通り、
- 中小企業経営
- 中小企業政策
の2つで大きく構成されています。
中小企業経営
中小企業経営の分野は
の3つです。
白書の覚え方のコツは後ほど紹介するんだな。
中小企業経営の頻出論点
- 業種別事業所数の推移
- 中小企業と大企業の比較(労働生産性、売上高、経常利益等の推移)
- 企業規模別の従業者数推移
- IT導入状況
- 小規模企業の企業数、従業者数推移
中小企業経営は受験前年度に公表されている中小企業白書と小規模白書からの出題がメイン。
最新年度に沿ったデータを覚える必要がありますが例年同じような箇所が問われる傾向にあります。
●年度は●%など、ピンポイントな数値ではなく
- 推移
- 比較
で問われることです。
中小企業政策
中小企業政策の分野は
- 中小企業基本法
- 中小企業向けの各種施策、法律
の2つです。
中小企業政策の頻出論点
中小企業政策の頻出論点は
の7つです。
なかでも、中小企業と小規模企業の定義は絶対に外せない重要論点です。
また、中小企業基本法の基本理念・基本方針も毎年のように出題される頻出論点なので、この部分だけでも暗記しておくと得点につながります。
[直前期でも間に合う]中小企業診断士試験における中小企業経営・中小企業政策の勉強方法のキホン
中小企業経営・政策の勉強は
- 完全に暗記
です。
あまり早い時期から勉強を開始してもおそらく試験までに忘れてしまいます。
いくら早く学習を開始しても、試験当日に忘れてしまったのでは意味がありません。
暗記のピークを試験当日に持っていく勉強計画を立てられかが大事となります。
逆算して考えると、中小企業診断士試験の2~3ヶ月前から勉強開始で十分間に合います。
過去問の使い方
残念ながらこの科目は出題のベースとなる内容が毎年変わるため、過去問が役に立ちません。
出題傾向やどのような問われ方をするのか参考にする程度で十分です。
ポイント
- 過去のデータは役に立たないので、出題傾向の把握だけで十分。真剣に取り組む必要はない
- 問題集や模試を利用して演習量の確保が重要
[傾向と比較で覚える]中小企業経営・中小企業政策(中小企業診断士)を攻略する勉強方法のコツ
中小企業経営も中小企業政策も勉強方法のコツが存在するんだ。
勉強のコツ
- 中小企業経営は傾向を抑える
- 中小企業政策は過去問で登場回数の多い論点を優先的に覚える
中小企業経営の勉強方法のコツ
中小企業経営は主に前年度の中小企業白書、小規模企業白書の統計調査の内容から主に出題されます。
ただ、細かい数値を全て暗記するのは不可能です。
中小企業経営のコツ
- 増加or減少or横ばい、多いor少ない、などの傾向を押さえる
- 業種別、企業規模別で比較する
中小企業経営の過去問(平成30年度第2問設問1)をチェック
フムフム..
中小企業経営で出題される問題は、細かい数値よりも傾向を問われるケースが多いです。
例として、中小企業経営の過去問(平成30年度第2問設問1)を見てみます。
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
総務省「平成26年度経済センサス-基礎調査-」に基づき、企業規模別(民営、非一次、産業)に、企業数と会社及び個人の従業者数を見た場合(2014年)、中小企業の構成比は全企業数の99.7%、従業者総数の70.1%を占めている。
また、総務省「平成21年、平成26年経済センサス-基礎調査-」、総務省・経済産業省「平成24年経済センサス-活動調査-」に基づき、2009年、2012年、2014年で比較すると、全企業数にしめる中小企業の構成比(%)は( )傾向、従業者総数に占める中小企業の構成比(%)は( )傾向となっている。
なお、企業規模区分は中小企業基本法に準ずるものとする。
(設問1)文中の下線部について、小規模企業と中規模企業の企業数と従業者総数を見た場合の記述として、最も適切なものはどれか。なお、ここでは中規模企業は小規模企業以外の中小企業とする。
ア:小規模企業の企業数と従業者総数は、共に中規模企業とほぼ同数である。
イ:小規模企業の企業数と従業者総数は、ともに中規模企業より多い。
ウ:小規模企業の企業数と従業者総数は、ともに中規模企業より少ない。
エ:小規模企業の企業数は中規模企業より多く、従業者総数は中規模企業より少ない。
オ:小規模企業の企業数は中規模企業より少なく、従業者総数は中規模企業より多い。
中規模企業と小規模企業の企業数や従業者数などの細かい数値ではなく、
- どちらの方が多いか少ないか
の比較で覚えていれば簡単に正解を導けるようになっています。
ポイント
- 近年の傾向として小規模企業白書からの出題が増加しているため、小規模企業白書の対策は必須
中小企業白書・小規模白書の使い方
中小企業診断士の試験対策では中小企業白書、小規模企業白書をすべて読む必要は全くありません。
市販テキストの方が中小企業試験対策用に要点がまとめられているため、市販テキスト中心の勉強が効率的です。
とはいうものの、中小企業白書、小規模企業白書は一度目を通しておくことをおすすめします。
なぜなら、中小企業白書、小規模企業白書には現状の中小企業をとりまく環境や課題がまとめられており、中小企業診断士試験の出題分野が推測できるからです。
中小企業経営・政策の試験対策上は、市販テキストでの勉強で問題ありません。
しかし、中小企業白書、小規模白書には中小企業試験全体のヒントがたくさん詰まっていますので、必ず一度は目を通しておくべきです。
中小企業政策の勉強方法のコツ
中小企業政策は中小企業経営と比較すると、出題内容が安定しています。
勉強効率が高いので、あまり時間がない方は中小企業政策を重点的に学習しましょう。
余談
- 中小企業政策の内容は中小企業診断士として活動する上では知っておくべき知識
- 支援施策を理解しておくと、支援先に対して様々な提案ができるようになる
- 独立後の実務でもすごく役立つ
中小企業政策頻出論点の小規模企業共済を例に過去問でチェック
中小企業政策の頻出論点である小規模企業共済を例に過去問をチェックしていきます。
小規模企業共済制度とは
国の機関である中小機構が運営する小規模企業共済制度は、
- 小規模企業の経営者や役員
- 個人事業主など
のための、積み立てによる退職金制度です。
掛金は全額を所得控除できるので、高い節税効果があります。
ポイント
- 小規模企業の経営者や役員、個人事業主など
- 掛金は加入後も増減可能、金額が所得控除
- 共済金の受け取りは一括・分割どちらも可能
- 低金利の貸付制度を利用できる
さらに、小規模企業共済以外の論点も同じことが言えるんだな。
平成28年度中小企業経営・政策の過去問(第16問)
平成28年度の中小企業経営・政策の過去問第16問を見ていきます。
中小企業診断士のA氏は、飲食店を経営するB氏から「廃業や退職に備え、生活の安定や事業の再建を図るための資金をあらかじめ準備しておきたい」と相談を受けた。そこで、A氏はB氏に、いわば「経営者の退職金制度」である小規模企業共済制度を紹介することにした。
この制度に関する、A氏のB氏に対する説明として、最も適切なものはどれか。
ア:一括して受けられる共済金は一時所得として取り扱われます。
イ:勤労者退職金共済機構と退職金共済契約を結び、掛け金を払うだけで、簡単に退職金制度を設けることができます。
ウ:この制度の対象となるのは、1年以上継続して事業を行なっている中小企業者です。
エ:その年に納付した掛け金は全額所得控除できます。
先ほどの小規模企業共済制度の
- 小規模企業の経営者や役員、個人事業主など
- 掛金は加入後も増減可能、金額が所得控除
- 共済金の受け取りは一括・分割どちらも可能
- 低金利の貸付制度を利用できる
の4つのポイントさえ覚えていれば答えにたどりけることが分かります。
まとめ
だから、しっかり対策して他の科目をカバーできるほどの高得点を目指すべきなんだな。
中小企業経営・政策は完全に暗記科目です。前述の通り、出題パターンは固定化しており、奇問も少ないので、学習した分だけ得点アップが見込め、得点源として期待できます。
ただし、二次試験との関連性が薄いため、あまり時間をかけずに合格である60点以上を効率よく獲得したい科目でもあります。
そのためにも、中小企業経営は中小企業白書や小規模白書の傾向や比較を抑える、中小企業政策は頻出論点を過去問で抑えることを徹底することが勉強のコツです。
-
-
事例1(組織・人事)で60点を死守する中小企業診断士二次試験勉強法のコツ
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