関連記事
どのような試験対策をすればいいのか...
企業経営理論は財務会計、運営管理と並んで中小企業診断士試験における最重要科目。
中小企業診断士試験の土台となる科目で、1次試験はもちろん2次試験においても企業経営理論を理解せず合格することは不可能です。
企業経営理論の科目合格率の平均は約15%と、難易度は7科目の中でも難しい部類に該当します。
ただし、初学者が合格点60点を獲得できないかというと全くそうではありません。
合格点60点を獲得するためには
- 暗記ではなく国語の試験と理解する
ことが試験対策のコツです。
[難しい]中小企業診断士の企業経営理論の難易度(レベル)
企業経営理論の難易度は
- 難しい
経営戦略論、組織論、マーケティングと勉強範囲が広く、出題される問題のレベルも高いです。
設問や解答文の意図が読み取りずらい点が企業経営理論の難易度をさらに高めているんだな。
企業経営理論の問題数と配点
問題数と配点
- 問題数は40問前後
- 配点は1問あたり2~3点
- 試験時間は90分
ただ試験範囲が広いからメリハリを付けた勉強が必要なんだな。
企業経営理論の科目合格率推移
年度 |
合格率 |
令和6年度 |
39.9% |
令和5年度 |
19.8% |
令和4年度 |
17.3% |
令和3年度 |
34.7% |
令和2年度 |
19.4% |
令和元年度 |
10.8% |
H30年度 |
7.1% |
H29年度 |
9.0% |
H28年度 |
29.6% |
H27年度 |
16.7% |
H26年度 |
13.4% |
令和3、6年度は合格率が高かったものの、令和元年、平成30年、29年は科目合格率が11%以下と難易度が非常に高いです。
しかも、H26年度以前も10%を割り込む年度が多く、平均で15%前後の合格率となっています。
中小企業診断士の企業経営理論の勉強範囲
中小企業診断士の試験案内に記載されている企業経営理論の科目設置目的をみてみると、
企業経営において、資金面以外の経営に関する基本的な理論を習得することは、経営に関する現状分析及び問題解決、新たな事業への展開等に関する助言を行うにあたり、必要不可欠な知識である。また、近年、技術と経営の双方を理解し、高い技術力を経済的価値に転換する技術経営(MOT)の重要性が高まっており、こうした知識についても充分な理解が必要である。このため、経営戦略論、組織論、マーケティング論といった企業経営に関する知識について、以下の内容を中心に判定する。
と書かれています。
- 経営戦略論
- 組織論
- マーケティング論
の3つから企業経営理論は構成されていると分かります。
経営戦略論
経営戦略論は
- 経営計画と経営管理
- 企業戦略
- 成長戦略
- 経営資源戦略
- 競争戦略
- 技術経営(MOT)
- 国際経営(グローバル戦略)
- 企業の社会的責任(CSR)
- その他経営戦略論に関する事項
9つの分野から出題されます。
経営戦略論の頻出論点
経営戦略論で特におさえておくべきは、
- ドメイン
- PPM
- 競争優位の戦略
- 製品アーキテクチャ
- 企業間連携
の5論点です。
事例1(組織・人事)、事例2(マーケティング)、事例3(生産・技術)など二次試験の根底となる知識になるからしっかり理解すべきなんだな。
組織論
組織論は経営戦略論より少なく
- 経営組織の形態と構造
- 経営組織の運営
- 人的資源管理
- その他組織論に関する事項
の4つの分野から出題されます。
ありがたいなぁ...
組織論の頻出論点
組織論の頻出論点は
- モチベーション理論
- リーダーシップ論
- 組織文化と組織変革
- 労働関連法規
の4つです。
だから、基礎的な知識だけ抑えて、あとは分からなければ捨て問題と割り切ろう。
マーケティング論
マーケティング論は
- マーケティングの基礎概念
- マーケティング計画と市場調査
- 消費者行動
- 製品計画
- 製品開発
- 価格計画
- 流通チャネルと物流
- プロモーション
- 応用マーケティング
- その他マーケティング論に関する事項
の10分野であり、企業経営理論のなかで勉強範囲が1番広い分野です。
マーケティング論の頻出論点
マーケティング論の頻出論点は
- マーケティングリサーチ
- 消費者購買行動
- ブランド
- プロモーション
の4つです。
スーパーやコンビニ、TVコマーシャルなど普段の生活で利用されている仕組みばかりだから、少し意識するだけで新たな発見があるはずなんだな。
[暗記ではなく国語の試験と理解すること]中小企業診断士の企業経営理論勉強方法のコツ
企業経営理論とは
- 国語の試験
です。
中小企業診断士の企業経営理論で実際に出題された過去問:平成30年度第1問
企業の多角化に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 外的な成長誘引は、企業を新たな事業へと参入させる外部環境の条件であるが、主要な既存事業の市場の需要低下という脅威は、新規事業への参入の誘引となりうる。
イ 企業の多角化による効果には、特定の事業の組み合わせで発生する相補効果と、各製品市場分野での需要変動や資源制約に対応し、費用の低下に結びつく相乗効果がある。
ウ 企業の本業や既存事業の市場が成熟・衰退期に入って何らかの新規事業を進める場合、非関連型の多角化は、本業や既存事業の技術が新規事業に適合すると判断した場合に行われる。
エ 事業拡大への誘引と障害は、企業の多角化の形態や将来の収益性の基盤にまで影響するが、非関連型の多角化では、既存事業の市場シェアが新規事業の市場シェアに大きく影響する。
オ 内的な成長誘引は、企業を多角化へと向かわせる企業内部の条件であり、既存事業の資源を最大限転用して相乗効果を期待したいという非関連型多角化に対する希求から生じることが多い。
ただ、試験日から逆算したスケジュール(目標)と過去問の徹底研究によって、企業経営理論の攻略は十分可能なんだな。
企業経営理論の勉強方法
- 試験日から逆算したスケジュール(目標)
- 過去問の使い方
試験日から逆算したスケジュール(目標)
ざっくりと序盤、中盤、直前期の3つに分けて、それぞれの時期で何をすべきか明確にすればOKなんだな。
3つのスケジュール
- 序盤
- 中盤
- 直前期
序盤
テキストを読み込んで
- 内容の理解に努める
時期です。
しかし、序盤では内容を完璧に理解する必要はなく、中盤、直前期につれて段階をおって完璧にしていけば問題ありません。
テキストだけ読み込みと過去問演習を同時に並行した方が理解が進みやすいので、必ずテキストの読み込みと過去問演習はワンセットにすべきです。
組織論は暗記に近いところもあるから後回しでもOKなんだな。
中盤
テキストでの学習が一通り終わったら
- 過去問を使って演習力の強化を繰り返し行う
時期です。
難解な言い回しも何度も何度も解くことで言葉への慣れと出題の意図がわかってきます。
ただし、マーケティング論はテキストや過去問に出題実績のないトレンド問題が出題されることがあります。
トレンド問題は知っているかどうかだけなので、経済情報誌や新聞なども目を通して情報収集しておくべきです。
直前期
試験直前期も大きく勉強方法を変える必要はなく
- 過去問を使った演習力の強化を繰り返し繰り返し行う
ことです。
労働関連法規は勉強しようとすると範囲が広すぎてきりがないため、テキストに載っている基本的な事項だけ暗記する程度で十分です。
過去問の使い方
企業経営理論は過去問の演習が重要です。
年度別ではなく、論点別に解くことで理解が進みます。
テキストの内容を覚えただけでは合格が難しいため、過去問を繰り返し解くことが必要です。
ポイント
- 難解な言葉の読み解きを含め、過去問で対応力をつけることが大切
- 過去問をテキスト代わりにできると企業経営理論を突破する力がグングンつく
- 年度別ではなく論点別の過去問題集で解くことが重要
平成30年度第1問の過去問を例に解説
過去問の平成30年度の第1問を使って、読み解きかたを紹介するんだな。
企業経営理論の解き方の3つの手順
- 知識で明らかな間違いとなる選択肢を排除
- 残った選択肢の内容を、簡単な言葉に置き換えて意味が通じるか検討
- より意味が通じる選択肢を選ぶ
選択肢(ア)
外的な成長誘引は、企業を新たな事業へと参入させる外部環境の条件であるが、主要な既存事業の市場の需要低下という脅威は、新規事業への参入の誘引となりうる。
「誘引」が文章を難しくしています。
文章を簡単にしてみると
- 外部の市場が成長することは、企業が新規事業に取り組むための条件であるが、既存市場の需要が縮小することも、新規事業に参入する理由となりうる
となります。
選択肢(イ)
企業の多角化による効果には、特定の事業の組み合わせで発生する相補効果と、各製品市場分野での需要変動や資源制約に対応し、費用の低下に結びつく相乗効果がある。
相補効果と相乗効果が難解な言葉となっています。
特定の事業の組み合わせで発生する相補効果は言い換えるとシナジー効果です。
相乗効果の意味さえ理解していれば、前半は間違っていないと分かります。
ただ、確実にバツとも言えないため、全選択肢を見た後に再度考えることにするんだな。
選択肢(ウ)
ウ 企業の本業や既存事業の市場が成熟・衰退期に入って何らかの新規事業を進める場合、非関連型の多角化は、本業や既存事業の技術が新規事業に適合すると判断した場合に行われる。
非関連多角化の意味そのものを問われているため、知ってさえすればウの選択肢は不正解だとすぐに分かります。
関連多角化
- 本業や既存事業の技術が新規事業に適合すると判断した場合に行われる
選択肢(エ)
エ 事業拡大への誘引と障害は、企業の多角化の形態や将来の収益性の基盤にまで影響するが、非関連型の多角化では、既存事業の市場シェアが新規事業の市場シェアに大きく影響する。
選択肢ウと同様に非関連多角化を知っていれば解答可能です。
非関連多角化
- 本業や既存事業の技術などと全く関連がない分野や市場に進出すること
ちなみにエの選択肢は、関連多角化の内容なんだな。
選択肢(オ)
オ 内的な成長誘引は、企業を多角化へと向かわせる企業内部の条件であり、既存事業の資源を最大限転用して相乗効果を期待したいという非関連型多角化に対する希求から生じることが多い。
内的な成長誘引が何を言っているのかわかりにくいです。
しかし、既存事業の資源を最大限転用して相乗効果を期待したい非関連型の多角化は関連多角化の内容を述べているため、不正解であることは分かります。
残った選択肢(ア)と(イ)をどちらの方がより正解かを検討する
ア 外的な成長誘引は、企業を新たな事業へと参入させる外部環境の条件であるが、主要な既存事業の市場の需要低下という脅威は、新規事業への参入の誘引となりうる。
イ 企業の多角化による効果には、特定の事業の組み合わせで発生する相補効果と、各製品市場分野での需要変動や資源制約に対応し、費用の低下に結びつく相乗効果がある。
残る選択肢は(ア)(イ)です。
選択肢アは特に誤り部分はない、逆に選択肢イの後半の相乗効果の記述が多角化の効果だと断定できないから、選択肢アが正しいと考えられるんだな。
企業経営理論にサブノートは必要ない
どうなんだろう...
過去問で実践力を身につけた方がはるかに時短学習に繋がるんだな。
サブノートが不要な理由
- ノートをまとめることが目的となってしまう傾向が強く、テキストベースの内容をいくらまとめても一点にもならない
- 過去問を使って何度も問題を解くことで実際に問われる内容の理解を深めた方が実践力がみにつく
- そして、過去問を解いていて分からない論点をテキストに戻って復習した方が間違いなく時短学習につながる
中小企業診断士の企業経営理論が苦手・わからないなら参考書も活用しよう
二次試験やその後のコンサルスキル向上まで視野に入れて、読み物的に参考書で勉強するのはモチベーションも高まるから非常に有効なんだな。
SWOT分析、VRIO分析、アンゾフのマトリックス、PPMなどの知識を活用して、企業の成長戦略へのアドバイスは中小企業診断士の必須スキルです。
中小企業診断士取得後を見据えるとテキストで語句を覚えるだけでなく、実務で使える知識としても使える参考書で、クロスSWOT分析など企業経営理論で学ぶ多くの体系図であるフレームワークが数多く紹介されています。
読み物としても、コンサルスキル向上のためにもなるおすすめの参考書は同友館『コンサルタントのフレームワーク』平賀均著、ダイヤモンド社『ストーリーで学ぶ戦略思考入門』荒木博行著の2冊です。
ポイント
- 実践的なスキルが学べる内容で、さらに初学者でも理解できるよう体系図であるフレームワークが丁寧に解説されている
-
-
【2024年】中小企業診断士テキスト・参考書のおすすめは!?ポイントは必要最小限の知識に絞りこまれているか
関連記事 中小企業診断士の独学合格ノウハウ 独勉クン中小企業診断士に独学合格するなら、まずはテキストや参考書だ... でも種類が多く、どれを利用すればいいんだ... テキストや参考書選びは中小企業診断 ...
まとめ
そして、中小企業診断士として活躍したいのであれば、企業経営理論を知らないでは済まされません。
二次試験にも深く関わる科目なので、企業経営理論の勉強時間は十分に確保すべきです。
設問や解答文が難解な言い回しであるため、パっとみ難しく感じます。
しかし、出題傾向は例年同じなので、過去問の徹底演習によって試験対策を行えば初学者であっても合格点を獲得することは十分可能です。
法律が苦手な僕は経営法務でちゃんと得点がとれるのか心配だ...
-
-
経営法務の中小企業診断士試験対策における勉強方法とは?頻出論点の会社法と知的財産関連法でしっかりと得点を重ねること
関連記事 中小企業診断士の難易度 独勉クン経営法務はどのくらい難しいのだろうか... 経営法務の難易度はかなり難しいんだ。 だけど、頻出論点でしっかり得点できれば合格点は確保可能な科目でもあるんだな。 ...