中小企業診断士の資格を取得しようと調べていて養成課程っていう制度を見つけたんだけど、養成課程ってどんなところなの?
養成課程は中小企業診断士の二次試験が免除される裏ルート的な存在なんだ。
でも、裏ルートだからと言って楽できるわけではないので注意が必要なんだな。
中小企業診断士の養成課程は、中小企業診断士の二次試験を免除して資格取得できる制度です。
養成課程は中小企業診断士として活躍するために必要なる実務的スキルを
- 半年〜2年間(期間は各養成機関で異なる)
かけて学ぶのが特徴です。
しかし、資金面の負担と時間の確保が非常に大変であるため、中小企業診断士の二次試験を免除できるから養成課程に進むという意識では途中で挫折する可能性が高いのも事実。
経営コンサルティングの実践経験を積めること、そして中小企業診断士の資格を確実に取得ができることから、すぐに独立して活躍したい人には非常に魅力的な制度です。
養成課程とは中小企業診断士の二次試験が免除される裏ルート
養成課程を卒業すれば二次試験を受けなくても中小企業診断士が貰えるって聞いたけど、そんな上手い話あるの?
そんな上手い話があるんだ。
中小企業診断士になるには、一次試験合格後に二次試験にも合格するか、養成課程を卒業するのか2パターン存在するんだな。
中小企業診断士養成課程とは、第1次試験合格者が中小企業庁の示すガイドラインに基づいた「演習」と「実習」により構成されたカリキュラムを修了することにより、中小企業診断士の登録資格が与えられるものです。
養成課程とは、中小企業診断士の1次試験合格者が中小企業庁が定めるガイドラインに基づいたカリキュラムを修了することにより、中小企業診断士の登録資格が得られるものです。
メモ
- 2次試験や実務補習(実務従事)の受講せずに、中小企業診断士の登録資格が得られる
- 正確には中小企業大学校が実施しているものを養成課程、その他の機関が実施しているものを登録養成課程と呼ぶ
養成課程の特徴は中小企業診断士の実務スキルを学べるところ
中小企業診断士を取得できる以外にも、養成課程に進むメリットってあるの?
中小企業診断士として独立を目指すなら、非常によい環境が整っているんだ。
養成課程を卒業したら、独立する人も多いんだな。
養成課程は、二次試験を免除して中小企業診断士を取得できるのが最大のメリットです。
卒業すれば資格取得が見込めることもあり、独立志望の方が養成課程で学ぶことが多い傾向にあります。
この最大のメリット以外にも大きく2つの特徴に魅かれて養成課程を選択されることが多いです。
2つの特徴
- 中小企業診断士としての実践的なスキルを身につく
- 同じ志を持った仲間と濃い時間を過ごすことが卒業後の人脈にもつながる
実践的なスキルが身につく
実践的な内容って具体的どんなことやるんだろう?
独立して活躍している中小企業診断士が講師から授業を受けたり、実習として企業に出向いて実際にコンサルティングを行ったりするんだ。
中小企業診断士として一番求められるのは当然ながら経営コンサルティングのスキルです。
そこで、実施されるのが中小企業に訪問してコンサルティングを行う実習です。
二次試験では、経営コンサルティングの考え方は学べますが、あくまで思想にすぎません。
また、二次試験終了後に、実務補習で実施の場は設けられているものの、5日間×3回と、期間が非常に短いため、経営コンサルティングの雰囲気を感じる程度のものです。
養成課程では
- 1回の実習に1ヶ月ほどの期間をかけて綿密に企業の成長をもたらす提案書の作成
します。
実際に経営者に対してヒアリングを行ったり、現場を見たりしながら、課題を抽出し解決方法を立案。最終的には解決施策や戦略を立案し、事業者に提案まで行います。
しかも、独立して活躍する選りすぐりの講師からアドバイスを直接そして何度ももらえるのも実務スキルを伸ばす絶好の機会として使えます。
実務補習では、そこまでスキルのない中小企業診断士が先生となるパターンもあるんだ。
その点、養成課程は活躍している中小企業診断士にお声がかかるから有益なアドバイスを貰えるんだな。
ポイント
- 2次試験はあくまで机上での作業
- 養成課程ではリアルな場での実践を積むことができる
- 資格取得後すぐに独立したい
- コンサルティング実務を身に付けたいと考えている方は養成課程が向いている
今後の活動に有益な人脈形成もできる
たしかに独立を考えているのなら凄いためになるかも。
独立だけでなく自己研鑽につながるから、養成課程に通うことはプラスなんだ。
しかも、一緒に切磋琢磨した仲間は、卒業後の強い人脈にもなってくれるんだな。
養成課程は数十人の同期とともに半年~2年程度かけて学習や実習を行います。
何百時間も同じ時間を共有し、さらに実習では何度もな何度も議論を重ねるなど、濃密な時を一緒に過ごします。
そこでの繋がりは養成課程卒業後の診断士として活動していく上で欠かせない人脈となります。
中小企業大学校東京校の授業風景をみると今後のためになりそう。
ポイント
- お互いで仕事を融通しあったり、共同でプロジェクトに参画など、中小企業診断士は様々な人脈を活用した仕事が一般的
- だからこそ、強い絆を結ぶことができることは養成課程の大きなメリット
中小企業診断士の養成課程にかかる費用は150〜300万円
一次試験に合格して、養成課程に進むのもアリな気がしてきた...
でも、費用(お金)はどれくらいかかるんだろうか...
養成課程のデメリットは高額な費用なんだ。
最低でも150万円、高いところでは300万円以上になるんだな。
中小企業診断士の二次試験を免除できる養成課程は、スゴクいいことばかりに感じますが、1番大きな問題は
- 高額な費用
です。
養成課程を卒業するまでに必要な費用は中小企業診断士の試験を受けるよりもはるかに多額です。
各機関によって費用は大きく異なりますが、安いところで150万円、高いところだと300万円以上必要となります。
また、平日昼間に授業が行われる講座だと、会社を退職せざるを得ないケースだと収入も減ってしまうため、負担はさらに重くなります。
自己研鑽や単なるスキルアップ目的での安易な入学を考えない方が良さそうだ...
ポイント
- 試験を受験する場合と比較して、金銭的な負担は非常に大きくなる
- 資格取得後にどうしたいか、自分にとって費用対効果が高いかを検討してから受講を決めるべき
中小企業診断士の養成課程はどうやったら入れるの?
養成課程はどうやったら入れるんだろう...
当たり前だけど、試験があるんだよね...
中小企業診断士の養成課程にも試験があるんだ。
書類審査と面接の2つが実施されるんだな。
養成課程に入るためには、中小企業診断士の1次試験に合格が絶対条件となるので、まずは1次試験に頑張って合格するほかありません。
なお、合格年度も直近二年ほどに絞られているケースが多いです。
1次試験の合格によって入学資格が得られ、養成課程の審査に応募が可能となります。
試験内容
- 書類審査
- 面接
書類審査
書類審査って聞くと緊張する...
入社試験などと一緒で、まずは書類審査が行われるんだ。
養成課程を入学希望する時の最初の関門は書類審査です。
- 受講申込書
- 身上書
- 履歴書
- 推薦書
- 健康診断書
などの書類提出が必要です。
機関によっては小論文やテストが課される場合もあるんだ。
中小企業大学校東京校の場合は800字以内の小論文が必要なんだな。
面接
書類審査を通過したら面接審査だったよね。
もし受験するとなると、緊張するな〜...
面接審査では、中小企業診断士としての資質があるかを見られるんだ。
だから、中小企業診断士としての資質に合致した受け応えができるようにしておくべきなんだな。
書類審査に合格すると、面接審査に進みます。
面接審査で重要となるのが
- 中小企業診断士としての資質を持っているか
です。
中小企業診断士の資質は具体的に6つ示されています。
評価項目 |
評価項目の視点 |
受講動機 |
研修の趣旨を理解しているか |
協調性・コミュニケーション能力 |
面接時の質問に対する回答が適切か。コミュニケーション面の問題がないか |
積極性・態度・表現力 |
面接時の態度等の姿勢が適当か |
健康 |
健康面の支障がないか |
資金 |
受講料以外の合宿費、生活費等の懸念がないか |
研修への専念度 |
全研修日程出席可能か。ダブルスクール、アルバイト等の予定がないか |
参照中小企業庁(登録養成機関に係る運用における受験生の選考要項)
人間性や受講に対して障害がないかという点が中心で、途中で離脱しないか、他の受講生や講師とうまくやっていけるかが大きなポイントとして見られています。
受講動機の研修の趣旨って何を指しているのだろうか...
研修の趣旨とは、中小企業庁の登録余生課程を実施するためのカリキュラム標準モデル記載されている内容のことなんだ。
ここにある内容をベースに、養成課程を通してどうなりたいのか、何を目指すのかなどを自分なりの考えをまとめておくべきなんだな。
1 全社的視点で、中小企業経営についての現場感覚に根ざした戦略的な問題発見・問題解決について、的確な支援施策の活用を考慮に入れた助言ができる経営コンサルタントを養成する。
- 「現場感覚」とは、企業の現状を的確に把握するとともに、中小企業の特性を踏まえて企業経営を考えることができる能力。
- 「戦略的」とは、5~10年後の競争優位を築けるあるべき姿とシナリオを描くことができる能力。
- 「助言」とは、経営目標の達成に向けて、経営者・社員の自発的行動を促しつつアドイスができる能力。
- 「経営コンサルタント」とは、これら能力を有し、支援対象となる企業に長期にわたり付加価値をもたらし、組織の目的と目標の達成(実行)を支援するサービス提供者を言う。※中小企業が抱える課題解決を助言するにあたっては、用意されている様々な中小企業支援策の有効な活用を助言することも必要です。
2 中小企業診断士としての自らの貢献領域を認識し、その修得を志向する経営コンサルタント。
- 「貢献領域」 :中小企業経営に付加価値を提供できる自分自身の専門領域・ブランド
参照中小企業庁
>中小企業診断士の養成課程の倍率はどのくらい?
中小企業診断士の養成課程に入学するのは難しいのかな...
倍率はどのくらいなんだろう?
機関によって倍率は変わってくるんだけど、応募すれば必ず入学できるっていうことでもないんだ。
だから、書類と面接の試験対策は行っておいたほうがよいんだな。
合格率はどの機関でも公表されていませんが、一般的に中小企業診断士の養成課程の倍率は、
- 約1.5倍~3倍
と言われています。
ポイント
- 定員が少なくなるほど、競争率は高くなる可能性が高い
- 金融機関など企業派遣の受入れが多い中小企業大学校などは一般入学の倍率は高い
中小企業診断士の養成課程を利用した人の評価・口コミ
実際に中小企業診断士の養成課程を利用した人の口コミを聞いていみたい...
どんな感想を持っているんだろう...
養成課程を検討するのに評価・口コミは気になるのは当たり前なんだ。
そこで、いくつか評価・口コミをまとめてみたんだな。
養成課程で学んだ方のリアルな評価や口コミを聞くと、プロのコンサルスキルを得られるなど、将来の独立を視野に入れている方からとてもポジティブな評価でした。
ただ、それとともに多く聞かれたのが
- 体力的にきつい
- 常に寝不足
などの声です。
実習が遠方の場合、泊りがけで行うこともあり、健康面の管理も大変だったという口コミもありました。
実習の中で、プロのコンサルタントの考え方に触れながら診断ができたので、非常に勉強になった。反面、実習時は10日間ほど泊りがけ。報告直前は深夜まで毎日作業が必要で体力的にはキツかった
人脈を築けた
登録養成機関H男性
養成課程の同期と修了後に共同でコンサル会社を立ち上げた。専門が違う分野の人たちと深い関係ができるので、資格取得後非常に役に立った
話す力がついた
登録養成機関T女性
グループディスカッションやプレゼンテーションの機会が多く、「話す力」や「ファシリテーション力」も身につけられた
登録養成機関N 男性
実習は体力的にキツく、挫折しかけた
独立への覚悟ができた
登録養成機関H 男性
他の余計なことを考えず、学習に集中できた。また、お金と時間をかけて学ぶことで、資格取得後は独立して稼いでやるという覚悟ができた
中小企業診断士の養成課程の地区別一覧
養成課程はどのエリアにあるんだろう...
北海道、関東、関西、東海(愛知)、九州(福岡)の5エリアに中小企業診断士の養成課程は存在するんだ。
5エリア
- 北海道
- 関東
- 関西
- 東海(愛知)
- 九州(福岡)
北海道地区
養成機関名 |
通学期間 |
費用 |
6ヶ月 |
2,035,000円 |
関東地区
養成機関名 |
通学期間 |
費用 |
6ヶ月 |
2,343,000 円 |
|
1年間 |
2,590,000円 |
|
6ヶ月 |
2,640,000円 |
|
2年間 |
2,570,000円 |
|
1年間 |
2,750,000円 |
|
2年間 |
2,480,000円 |
|
2年間 |
1,774,000円 |
|
1年間 |
2,000,000円 |
|
不明 |
不明 |
関西地区
養成機関名
通学期間
費用
2年
2,174,600円
1年
2,037,000円
東海(愛知)地区
養成機関名 |
通学期間 |
費用 |
2年 |
3,460,000円 |
|
1年 |
2,100,000円 |
|
2年 |
1,500,000円 |
九州(福岡)地区
養成機関名 |
通学期間 |
費用 |
1年 |
2,420,000円 |
まとめ
養成課程は二次試験を免除で中小企業診断士の資格取得が可能な裏ルート的な存在なんだ。
ただし、多額の費用と通学期間がかかるから、しっかりと検討した上で受験を決めることが大事なんだな。
中小企業診断士の養成課程は資金面の負担と時間の確保が非常に大変です。
さらに、カリキュラムは厳しく、実習の報告前は徹夜の連続も当たり前な世界なこともあるため
- 二次試験の勉強が大変だから養成課程に行く
という安易な考えだと、途中挫折する可能性が高いです。
しかし、中小企業診断士の試験勉強では得られない実務スキルや人脈を獲得できることは養成課程の大きなメリットです。
資格取得後すぐに独立して活躍したいと考えている方には、非常に魅力的な制度です。
非常に勉強になった
登録養成機関N男性